デジタル庁が 10 月 20 日、政府職員が自分で AI の助手を作って動かせる環境の提供を始めました。対象は約 18 万人です。
あわせて、安全に使うためのルール「源内基準」も公表しました。社員に AI を作らせるとき、どんなルールを先に決めるかの手本になります。
30 秒でわかるポイント
- 政府職員約 18 万人に、AI の助手を自分で作れる環境を順次導入
- 使う人・管理する人・作る人の 3 つの立場ごとに守ることを決めた「源内基準」を公表
- 仕組みは 2027 年 2 月ごろ、自治体や企業も使える形で公開予定
1 分でわかる解説
ここでいう AI の助手は、指示を受けて自分で段取りを組み、作業を進める AI です。AI エージェントと呼ばれます。用意されたのは 2 つの環境です。
| 環境 | できること | 導入の時期 |
|---|---|---|
| エージェントチャット | 対話しながら AI エージェントを作り、動かす | 10 月 20 日から各府省庁へ順次 |
| 源内工房 | 言葉で指示すると、プログラムの作成・修正や動作確認まで AI が進める | 12 月ごろまでを目指す |
答えるだけの AI より、できることの範囲が広がります。そのぶん、使い方の約束ごとが要ります。古川俊治デジタル大臣も、AI エージェントを使うと「リスクも若干上がってくる」と述べています。
ここから考えたい 3 つの問い
- AI を使う人・管理する人・作る人の役目を、分けて決めていますか?
- 身近な職場で誰かが AI を自作したら、その中身を誰が確かめますか?
- AI のルールをつくるとき、手本にできる外部の基準を探したことはありますか?
全文を読む(約 4 分)
何が起きたの? — 職員が AI を「作る」側に
「源内(げんない)」は、デジタル庁が自前で作った、政府職員向けの生成 AI の利用環境です。法制度の調べものや、国会答弁の作成の手助けなどに使われています。
今回はその上に、職員が自分で AI エージェントを作れる環境を足しました。デジタル庁によると、一般の職員が日常業務で使える政府共通の基盤として、約 18 万人の規模で導入するのは世界初の試みです。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025 年 5 月 | デジタル庁の中で源内を使い始める |
| 2026 年 5 月 | 全府省庁の職員約 18 万人を対象に、大規模な試行を開始(2027 年 3 月までの予定) |
| 2026 年 10 月 20 日 | エージェントチャットの導入を始め、源内基準を公表 |
| 2026 年 12 月ごろ | 源内工房の導入を目指す |
| 2027 年 2 月ごろ | 2 つの環境を一般に公開する予定 |
狙いは、職員が自分の仕事に合わせて AI を作り、使いながら直していくことです。現場から仕事のやり方を変え、AI を使える人材も育てる考えです。
「源内基準」って何?
正式な名前は「ガバメントAI 源内 ガバナンス・セキュリティ・セーフティに関する基準」です。AI の統制、情報の守り、安全についての基準という意味です。
柱は、立場ごとの役目の切り分けです。「利用者」「管理者」「開発者」の 3 つの立場ごとに、負う責任と守ることを定めています。
社用車にたとえると分かりやすいかもしれません。運転する人、車を管理する総務、車を整備する人では、守るべきことが違います。AI も同じで、使う人と作る人では気をつけることが違います。
なぜ新しい基準が要るのか。デジタル庁は、AI エージェントは従来の AI アプリより機能が高度で複雑で、実行できる処理の範囲も広いと説明しています。安全を保ちながら、職員が自分から使えるルールが必要だという考えです。
基準づくりには、AI の安全性の評価を担う機関、AI セーフティ・インスティテュート(AISI)が協力しました。
会社のルールづくりはどう変わるの?
古川大臣は、自治体や民間企業が自分の組織で AI の統制を考えるときにも、源内基準が参考になるとの考えを示しました。デジタル庁も、安全と活用を両立する「モデルケース」として広く参考にしてほしいとしています。
| 答えるだけの AI | AI エージェント | |
|---|---|---|
| できること | 質問に答える | 段取りを組んで作業まで進める |
| 誰が作るか | 用意されたものを使う | 社員が自分の仕事に合わせて作る |
| 先に決めること | 何を入力してよいか | 誰が使い、誰が管理し、誰が作るか |
仕組みそのものも公開されます。2 つの環境は「源内OSS Ver.2.0」として、2027 年 2 月ごろに一般公開の予定です。誰でも使い、手直しし、配り直せる形のソフト(オープンソース、OSS)として出す計画です。
SYNCON の視点 — 作らせる前に、役目を分ける
社員に AI を作らせると、現場に合った道具が早くできます。その一方で、誰が作った AI が何をしているのか、会社から見えにくくなるおそれがあります。
源内基準から学べるのは、細かい禁止事項より先に「立場」を分けたことです。使う人、管理する人、作る人。それぞれが何に責任を持つかを決めておけば、問題が起きたときに誰が止めるかもはっきりします。
自社で先に決めたいのは、社員が作った AI を誰が確かめるか、どの業務までなら任せてよいか、止めるときに誰へ知らせるか、です。2027 年 2 月ごろに仕組みが公開されたら、自社のルールと見比べるのも一つの手です。
要点まとめ
- デジタル庁が「源内」で、職員が AI エージェントを自分で作れる環境の提供を開始
- 対象は政府職員約 18 万人。デジタル庁はこの規模での導入を世界初の試みとする
- エージェントチャットは 10 月 20 日から順次、源内工房は 12 月ごろまでの導入を目指す
- 源内基準は、利用者・管理者・開発者の 3 つの立場ごとに責任と守ることを定めた
- 2 つの環境は 2027 年 2 月ごろ、「源内OSS Ver.2.0」として一般公開の予定
- 社員に AI を作らせる前に、使う人・管理する人・作る人の役目を分けておく
情報ソース:
・ITmedia NEWS「デジタル庁、政府職員18万人にAIエージェント環境を展開──「源内」で提供開始、独自の安全基準も」(2026 年 10 月 20 日)
・デジタル庁「ガバメントAI 源内においてAI エージェント利用環境の提供を開始するとともに、「源内基準」を公表します」(2026 年 10 月 20 日)
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