大企業で開発に AI を使う回答者の 65.0% が、「エンジニアでない社員も AI で開発している」と答えました。
現場が自分で作れるのは利点です。ただ、作られた仕組みの中身を誰が確かめるかは、経営が決めておく話になっています。
30 秒でわかるポイント
- 従業員 1,001 人以上の回答者の 65.0% が、非エンジニアも AI で開発と回答
- その大企業の 55.0% が、AI 開発で起きたトラブルを「把握できていない」
- 求める対策の 1 位は、AI が書いたプログラムの自動点検ツール(56.0%)
1 分でわかる解説
作る人は増えましたが、確かめる仕組みが追いついていません。大企業の回答者が品質について最も多く選んだ答えは、「検証していないため分からない」(33.3%)でした。
デメリットの 1 位は「理解負債」です。中身を理解しないまま使い続け、あとで誰も直せなくなる状態を指します。大企業の回答者の 46.0% が選びました。
IT 部門とそれ以外では、求めるものが違います。
| 必要な施策 | IT 部門 | IT 部門以外 |
|---|---|---|
| AI の利用料を部門別に見える化し、制限する道具 | 41.4% | 26.0% |
| 現場向けの、安全な開発の道具を会社で用意する | 13.8% | 24.7% |
自社で確かめる 3 つの問い
- 社員が AI で作った仕組みが社内にいくつあるか、把握していますか?
- 顧客データやお金に触れる仕組みを、作った本人以外が確かめていますか?
- 作った社員が異動したとき、その仕組みを誰が引き継ぐか決めていますか?
全文を読む(約 4 分)
何が起きたの? — 非エンジニアの開発が大企業ほど進む
ITmedia エンタープライズとキーマンズネットが、開発での AI の使い方を調べました。期間は 2026 年 7 月 27 日〜8 月 5 日、回答は 106 件です。
ここでの「AI を使った開発」は幅が広い意味です。プログラムの自動補完、対話型の AI への指示だけで作る方法、ほとんど書かずに作れる道具(ローコード)の AI 機能などを含みます。
記事は、従業員 1,001 人以上の企業(大企業)の回答者を中心に結果を紹介しています。
| 設問 | 大企業 | 全体 |
|---|---|---|
| 非エンジニアの社員も AI で開発している | 65.0% | 40.0% |
| AI を使った開発を全社で使っている | 50.0% | 37.8% |
非エンジニアの設問は、大企業の回答者が 20 件です。数字は傾向として読むのが妥当です。
トラブルの把握も追いついていません。IT 部門が対応すべきトラブルが起きたかを尋ねると、大企業の回答者の 55.0% が「把握できていない・分からない」を選びました。
寄せられた声には、身近な失敗が並びます。若手が「1 日で作った」経費精算ツールが、本人の異動後に突然動かなくなった。経理が独自に作ったツールが、セキュリティソフトに検知された。
何が危ういの? — 「理解負債」という落とし穴
AI が書いたプログラムの品質を尋ねた設問では、大企業の回答者の最多は「検証していないため分からない」(33.3%)でした。
全体の最多は「単純なミスは減ったが、深い欠陥が増えた、または目立つようになった」(32.5%)です。深い欠陥とは、仕組み全体の食い違いや、外から攻撃される穴(脆弱性)のことです。
デメリットの 1 位は「理解負債」でした。大企業で 46.0%、全体で 53.8% が選んでいます。
たとえるなら、引き継ぎ書のない業務です。動いているうちは誰も困りません。止まった日に、直せる人がいないと初めて気づきます。
速さの面でも、思ったほどではないようです。大企業の回答者では、次の 2 つが全体より多く選ばれました。
| デメリット | 大企業 | 全体 |
|---|---|---|
| レビューや検証に、かえって時間がかかる | 26.0% | 21.7% |
| 「速くなった」体感ほど、生産性は上がっていない | 22.0% | 17.0% |
会社の仕組みはどう変わるの?
これまで社内のシステムは、IT 部門か外注先が作るものでした。作る前に、IT 部門の目が通っていました。
| これまで | これから | |
|---|---|---|
| 誰が作るか | IT 部門か外注先 | 業務を知る現場の社員 |
| いつ確かめるか | 作る前に計画を審査 | 作られた後に、数多くを点検 |
| 中身を知る人 | 作った部署と IT 部門 | 作った本人だけ、になりやすい |
必要な施策の 1 位は、AI が書いたプログラムの品質や穴を自動で点検する道具でした。大企業で 56.0%、全体で 53.8% です。
差が出たのは、全社の AI 利用ルール(ガイドライン)づくりです。規模が大きいほど、選ぶ人が減りました。
| 従業員規模 | 全社の AI 利用ルールが必要 |
|---|---|
| 101〜1,000 人 | 38.2% |
| 1,001 人以上 | 18.0% |
| うち 5,001 人以上 | 9.1% |
大企業の IT 部門(14 件)では、点検の道具と、利用料を見える化する道具が同じ 64.3% で並びました。AI の費用が想定を上回る会社が増えている、と記事は指摘しています。
「非エンジニアの AI 開発は取りやめるべき」は、IT 部門で 13.8%、それ以外で 1.3% でした。記事も参考程度としていますが、現場と IT 部門の温度差が表れています。
SYNCON の視点 — 任せる線と、点検する線
記事は、非エンジニアの開発を止めるのではなく、利用状況とコストを見える化し、検証の仕組みを整えるべきだと結んでいます。現場の社員は業務を一番よく知っているからです。
その土台づくりで経営が決めるのは、線の引き方です。すべてを IT 部門が見るのは無理があります。基準は「何に触れるか」と「誰が使うか」の 2 つで足ります。
| 仕組みの性質 | 扱い |
|---|---|
| 自分だけが使い、社内の公開資料だけを扱う | 現場に任せる。台帳に名前だけ残す |
| 部署やチームで使う | 作った本人以外の担当者を決める |
| 顧客データ・お金・取引先に触れる | 使い始める前に IT 部門が点検する |
もう 1 つは異動と退職です。作った本人がいなくなった日に止まる仕組みは、人事の予定と一緒に棚卸しできます。まずは「社内に何があるか」を数えるところから始められます。
要点まとめ
- ITmedia エンタープライズとキーマンズネットの調査(回答 106 件)
- 大企業で開発に AI を使う回答者の 65.0% が、非エンジニアも開発していると回答(全体 40.0%)
- 大企業の 55.0% がトラブルを把握できず、品質は「検証していないため分からない」が最多(33.3%)
- デメリットの 1 位は、中身を理解しないまま使う「理解負債」(大企業 46.0%)
- 対策の 1 位は自動点検の道具(56.0%)。大企業の IT 部門は利用料の見える化も同率で重視
- 経営が決めるのは、現場に任せる線と、IT 部門が点検する線の引き方
情報ソース:
・ITmedia エンタープライズ「大企業に勤める回答者の過半数が『非エンジニアによる開発を実施』 全社に行き渡ったコード、検証できているのか?【調査】」(2026 年 9 月 29 日)
AI・最新テックの動きを、毎日 X でお届けしています
X で @SYNCONJP をフォロー




コメント