AI に任せるブラウザは用途で分ける — Claude の契約 1 つで複数に

DEEP SYNC
自宅・オフィス・カフェの PC に、1 つの AI からブラウザが分かれてつながるイメージ(AI で生成)

AI にブラウザの操作を任せるとき、経理の画面も営業の画面も、同じブラウザのままでよいのでしょうか? Claude の契約 1 つで、Chrome の中の用途ごとの「部屋」や PC ごとに、AI に任せるブラウザを分けられることを編集部で確かめました。分けることは、そのまま安全策にもなります。

30 秒でわかるポイント

  • Claude の有料の契約 1 つで、部屋ごと・PC ごとに別のブラウザとして AI に任せられます。編集部では 3 つ同時に使えました。
  • 部屋を分けると、AI に見せる画面も分かれます。開発元の Anthropic も、大事なアカウントは別の部屋に分けるよう勧めています。
  • ブラウザの外から頼むときは、どの部屋に任せるかを毎回指名することが大切です。

1 分でわかる解説

Claude in Chrome は、AI の Claude がページを読み、クリックや入力までこなす Chrome の拡張機能です。Chrome の横に出るパネルから頼めます。

Chrome には、ブックマークやパスワードを人ごと・用途ごとに分ける「部屋」(プロフィール)があります。拡張は部屋ごとに入れ、同じ Claude アカウントでログインします。経理用と営業用、本社の PC と在宅の PC のように分ければ、部屋ごとに見えている画面だけを AI に任せられます。

ここから考えたい 3 つの問い

  • ブラウザで同じ手順を繰り返している仕事は、どれでしょうか?
  • AI に見せてよい画面と見せたくない画面の境目は、どこにありますか?
  • AI に任せた操作の結果を、だれがどう確かめる決まりにしますか?
全文を読む(約 5 分)

Claude in Chrome で、何ができるの?

Claude in Chrome は、Anthropic が出している Chrome 用の拡張機能です。ページを読む、クリックする、文字を打つ、フォームを埋めるといった操作を、人の代わりにこなします。ツールバーの Claude のアイコンを押すと画面の横にパネルが開き、見ているページについてそのまま頼めます。

使えるのは Pro、Max、Team、Enterprise の有料プランすべてです。対応するのは Google Chrome だけで、Edge などほかの同系統のブラウザや、スマホは対象外とされています。

もう一つの前提が、Chrome の「プロフィール」です。ブックマーク、履歴、パスワードなどをプロフィールごとに切り分けられ、仕事用と個人用で別のアカウントを使うときに便利だとされています。この記事では、これを「Chrome の中の、人ごと・用途ごとの部屋」と呼びます。

編集部で試して、何が分かったの?

編集部で試したところ、1 つの Claude アカウントに、3 つのブラウザが同時につながりました。同じ PC の中で部屋を分けたものと、別の PC の Chrome を合わせた 3 つです。

試したこと 結果
同じ PC の Chrome で、部屋を 2 つに分けて拡張を入れる 部屋ごとに、別のブラウザとして扱われた
新しい部屋に拡張を入れる 入れたその場で、つながったブラウザの一つに加わった
部屋ごとに、Chrome に違う Google アカウントでログインする 問題なく使えた。そろえるのは、拡張にログインする Claude のアカウントだけだった
別の PC の Chrome にも、同じ Claude アカウントで拡張を入れる 3 つが同時につながり、選んだ 1 つに操作を任せられた

ただし、つなげられる数の上限は公式に書かれていません。編集部で確かめたのは 3 つまでなので、「何台でも使える」とは言えません。

1 つの Claude アカウントに、本社の PC の経理用・営業用の部屋と、在宅の PC の部屋がつながり、AI を入れない部屋は切り離されている図
部屋の名前は記事中の例。SYNCON が作図

拡張を入れた部屋だけが、Claude アカウントにつながります。AI を入れない部屋は、切り離したままにしておけます。

部屋はどう分けるとよいの?

分け方に正解はなく、仕事の中身や会社の決まりによって合う形は変わりそうです。たとえば次のような分け方が考えられます。

部屋の例 AI に任せる作業の例 その部屋に置かないもの
営業用 見込み客の会社サイトを読んで要点をまとめる、打ち合わせの前に資料を開いておく 経理や人事の画面
経理・事務用 届いた請求書の内容を一覧に書き写す、公開されている制度の情報を調べる ネット銀行の画面
在宅の PC 社外で触っても困らない作業の部屋だけを置く 社内の重要なデータを開く画面
AI を入れない部屋 (拡張を入れない) ネット銀行、行政の手続き、健康の情報などは、ここだけで開く

いちばん下の「AI を入れない部屋」が、安全の面では要になりそうです。

気をつけることは?

どの部屋に任せるかを、毎回指名する。パネルから頼む場合は、パネルを開いた部屋のページが対象です。一方、開発者向けの道具である Claude Code など、ブラウザの外から頼むと、つながっているブラウザがすべて一覧に並びます。編集部では、一覧の表示名がつながった順で入れ替わることがありました。名前だけで選ぶと、別の PC や別の部屋の画面を触ってしまうおそれがあります。

大事なアカウントは、別の部屋に分ける。Anthropic は安全な使い方の案内で、ネット銀行や医療などの大事なアカウントを入れない、別のプロフィールを使うよう勧めています。ページに隠れた指示で AI をだます手口(プロンプトインジェクション)について、見張りの仕組みは入れているものの、危険はゼロではないとも書いています。AI が操作した結果の責任は使う人にある、とも明記されています。

会社で使うなら、管理者の設定を確かめる。Team と Enterprise には管理者向けの設定があり、AI が開いてよいサイトと開いてはいけないサイトの一覧を決められます。Team は初めから使える状態です。Enterprise は初めは使えない状態でしたが、2026 年 9 月 10 日から、管理者が止めていなければ使える状態になりました。編集部でも、会社の Google のアカウントでは、管理者の設定によって拡張を入れられないことがありました。

SYNCON の視点 — 部屋の分け方が、AI に任せる範囲を決める

AI にブラウザを任せるとき、まず「何をさせるか」を考えがちです。ただ、今回の検証からは、「どの部屋に何を置くか」を先に決めるほうが大事なのかもしれません。

部屋を分けると、AI に見せる画面と、AI に任せる作業の範囲が同時に決まります。使い道の設計と安全策を、一度に考えられるのが利点になりそうです。契約を増やさずに部屋を増やせる点も、小さく試すには向いています。まず、見られても困らない作業だけの部屋を一つ作り、慣れてから広げる。そうした進め方が、多くの職場で現実的な入り口になるかもしれません。

情報ソース:
・Anthropic「Get started with Claude in Chrome」
・Anthropic「Use Claude in Chrome safely」
・Anthropic「Claude in Chrome admin controls」
・Google Chrome ヘルプ「複数のプロファイルを使用して Chrome を管理する」
・編集部の検証(2026 年 9 月 19 日〜10 月 3 日)

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