【BUZZ SYNC】「AI を使っている」は 5 段階のどこか — 自社の現在地を測る物差し

BUZZ SYNC

X で話題になっていた投稿を、SYNCON 編集部が深掘りします。コンサル転職エージェント FlowX の「コンサルマン」氏(@mr_grayhair)が、アビームコンサルティングの記事にある AI 活用の段階の整理を紹介し、347 件のブックマークを集めました。「うちも AI を使っている」が、どの段階の話なのかを測る物差しになります。

30 秒でわかるポイント

  • アビームコンサルティングは 9 月 28 日公開の記事で、調達業務の AI 活用を Stage 0〜4 の 5 段階に分けました
  • Stage 0 はチャットで調べものや下書きを手伝わせる段階です。上に行くほど、自社の規程、社内データ、取引先へと範囲が広がります
  • 投稿者は、Stage 0 のまま「業務で AI を使っている」と面接で語っても評価されない、と転職支援の立場から述べています

1 分でわかる解説

元の記事は調達部門の話です。投稿者は「本論とはずれるけど」と断ったうえで、段階の整理だけを取り出しました。この切り出し方で、職種を問わず自分に当てはめられる問いになっています。

段階 AI がしていること
Stage 0 チャット期 一般的な情報をもとに、調べものや下書きを手伝う
Stage 1 ガイド期 自社の規程を読み込み、社内ルールに沿って答える
Stage 2 タスクエージェント期 過去のデータを参照し、比較や選定を実行する
Stage 3 エージェント協調期 複数の社内システムをまたいで動く
Stage 4 エコシステム接続期 取引先側の AI とも連携する

段階が上がるほど、AI に渡す材料が「一般的な情報」から「自社の規程やデータ」へ移ります。差がつくのは道具ではなく、この材料の整備です。

自社で確かめる 3 つの問い

  • 社内の「AI を使っている」を、Stage 0 とそれより上に分けて把握していますか?
  • 自社の規程や方針を、AI が読める文書の形で持っていますか?
  • ベテラン社員の判断の基準を、言葉にして残す仕組みがありますか?
全文を読む(約 5 分)

「AI を使っている」は、どの段階の話なの?

元になったのは、アビームコンサルティングが 2026 年 9 月 28 日に公開したイベントレポートです。7 月 24 日の「Coupa Inspire World Tour Tokyo 2026」での講演を、同社の馬場雅之氏(Senior Manager)が報告しています。

記事は、調達業務における AI 活用の成熟度モデルとして 5 つの段階を示しました。前提にあるのは「AI活用は一足飛びに高度化できるものではない」という考え方です。

Stage 0 のチャット期は、市況調査、見積条件の整理、交渉の論点の洗い出し、メールの下書きなどを手伝う段階です。材料は一般的な情報で、やり取りはチャット形式です。

Stage 1 のガイド期では、社内の購買規程やカテゴリーごとの方針を AI に読み込ませます。これで、自社のルールに沿った答えが返るようになります。

Stage 2 からは、指示を受けて作業を自分で進める AI(AI エージェント)の出番です。システムから過去のデータや見積の回答実績を参照し、見積比較や取引先の選定を実行して、結果をシステムに登録します。

Stage 3 では、調達のシステムに加えて、基幹システム(ERP)、データ分析の基盤、契約管理のシステムと連携します。Stage 4 は、取引先側のエージェントとつながり、企業をまたぐ流れの自動化までを対象にします。

なぜ Stage 0 では評価されないの?

投稿者は、Stage 0 を「業務でAIを使っている」と面接で語っても評価されないレベル感だと書いています。これは元の記事の記述ではなく、転職支援の現場からの見立てです。

この指摘が効いているのは、「AI を使った経験」と「AI を業務に組み込んだ経験」を分けて見せた点です。Stage 0 の使い方は、同じ道具があれば誰でも同じようにできます。

差が出るのは Stage 1 からです。自社の規程を読ませる、社内のデータを参照させる、という設計には、業務そのものの理解が要ります。

同じことは社内の報告にも言えます。「全社で AI を導入した」の中身が Stage 0 なら、他社との差にはなりにくいはずです。

次の段階に進むには、何を準備すればいいの?

元の記事は、AI を生かせる状態(AI Ready)の土台として 2 つを挙げています。1 つは、書類の文字を読み取る AI(AI-OCR)です。形式の違う見積書や、図面を含む大型設備の仕様書から、費用を左右する情報を取り出します。

もう 1 つは、暗黙知の言語化です。ベテランのバイヤーが経験で下してきた判断や、担当者ごとの査定の観点を引き出して整理します。その手段として、AI エージェントとの対話や過去の資料の分析を挙げています。

記事は、AI 時代の調達部門に要る力を次の 3 つにまとめています。

力 中身
先を読み、備える力 価格高騰や地政学リスクを早くつかみ、代替の調達先を先回りして用意する
意思を効かせる力 経営方針や調達戦略を、購買ルールや取引先の選定に素早く反映する
余力を生み出す力 定常業務を省力化し、分析・交渉・取引先との関係づくりに人を集中させる

記事は「2026年版ものづくり白書」も引いています。収益性の高い企業ほど、調達先の変更や多角化に積極的に取り組んでいる、という内容です。

調達以外の部門にも当てはまるの?

元のモデルは調達業務向けです。他の部門に当てはめるのは、投稿者と SYNCON の解釈です。

ただ、段階で測る考え方そのものは広く使われています。Microsoft は「Agentic AI 導入成熟度モデル」を公開しています。レベル 100(初期)からレベル 500(効率的)までの 5 段階です。

このモデルは、戦略、業務、ガバナンスとセキュリティ、技術とデータ、組織と文化の 5 つの柱で成熟度を見ます。レベル 100 は、取り組みが計画外で試験的、個人に依存している状態と説明されています。

2 つのモデルに共通するのは、技術だけを測らない点です。規程、データ、人の知恵が整って、初めて次の段階に上がれます。

SYNCON の視点 — 日本の非エンジニア経営層は何を盗むべきか

月曜にできるのは、各部門に「AI を何に使っているか」を聞き、Stage 0 とそれより上に分けることです。Stage 0 の使い方が悪いわけではありません。ただ、投資の判断では両者を区別して数える必要があります。

Stage 1 に上がる条件は、新しい道具ではありません。自社の規程や方針が、文書として整っているかどうかです。規程集の整理と、ベテランの判断基準の言語化は、AI を入れる前から始められます。

要点まとめ

  • アビームコンサルティングは、調達業務の AI 活用を Stage 0〜4 の 5 段階で示しました
  • Stage 0 はチャットでの支援で、Stage 1 から自社の規程や社内データを使います
  • 投稿者は、Stage 0 の経験は面接で評価されにくいと、転職支援の立場から指摘しました
  • 次の段階に進む土台は、書類のデータ化と、ベテランの暗黙知の言語化です
  • Microsoft の成熟度モデルも、技術に加えて組織と文化を測ります

情報ソース:
・アビームコンサルティング「【イベントレポート】AI時代の調達力をどう高めるか――AIエージェントの進化と『AI Ready』な調達業務への変革」(2026 年 9 月 28 日)
・Microsoft Learn「Agentic AI 導入成熟度モデルの概要」
・元投稿:コンサルマン@FlowX 氏(@mr_grayhair)、2026 年 9 月 29 日

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