AI で攻撃が手軽に、不正アクセス 600 件 — 守りの予算を見直す時

KEYWORD SYNC

国内の企業や自治体が今年公表した不正アクセスなどの被害が、9 月末で 600 件になりました。昨年 1 年間の 593 件を、3 か月を残して超えています。

専門家は、AI の悪用で攻撃が容易になった恐れを指摘しています。攻める側の手間が下がったいま、守りの予算と体制を見直す時期に来ています。

30 秒でわかるポイント

  • トレンドマイクロの集計で、9 月末に 600 件。昨年の 593 件を超えた
  • ミスターマックスで最大 173 万人分、GMO の子会社で最大 95 万件の流出
  • AI が自動で攻撃した痕跡も一部で見つかった

1 分でわかる解説

トレンドマイクロの高橋昌也氏は、特定の国や業種が狙われているわけではない、と話しています。どの会社も、たまたま弱いところがあれば入られる、ということです。

狙われやすいのは、外から社内のシステムにつなぐための機器のうち、弱点が残ったものです。業務で使う AI が、侵入の入り口になった例もあるとしています。

これまで これから
攻撃には技術と手間が要った AI で攻撃を自動化できる
大企業や特定の業種が狙われる 弱点がある会社から狙われる

ここから考えたい 3 つの問い

  • 社外から社内につなぐ機器の更新を、誰が確かめていますか?
  • 仕事で使っている AI のうち、社外に開いたままのものはありますか?
  • 顧客の情報が漏れたとき、最初の 1 日で誰が何を決めますか?
全文を読む(約 4 分)

何が起きたの? — 9 か月で昨年を超えた

セキュリティ会社のトレンドマイクロは、企業や自治体が公表した被害の情報を集計しています。今年は 9 月末時点で 600 件になり、昨年 1 年間の 593 件を上回りました。

同じ集計を始めた 2024 年が最多で、644 件でした。今年はそれを上回るペースです。

10 月に入っても、大きな流出の発表が続いています。

会社 発表 中身
ミスターマックス 10 月 6 日 アプリとオンラインストアの会員、最大 173 万 5154 人分。会員 ID、氏名、メールアドレス、電話番号
GMOリサーチ&AI 10 月 5 日 アンケートサイト「infoQ」の会員情報、最大 94 万 8,498 件。住所や生年月日も含む

ミスターマックスは、住所、生年月日、クレジットカード情報、パスワード、購入履歴は流出していないと確認しています。

GMOリサーチ&AI では、会員のポイントが本人の意思によらずギフトコードに交換される被害も出ました。611 件、合計 2,869,500 円分で、同社は全額を補填するとしています。

報道では、AI を悪用した可能性も指摘されています。政府は手口を分析し、被害の把握を急ぐ方針です。

AI で攻撃が誰でもできるって、どういうこと?

高橋氏は、2 年ほど前は「AI 悪用の可能性」の段階だったが、今や悪用されている、と話しています。最近は、AI が自動で攻撃した痕跡も一部で見つかったそうです。

報道の見出しは「スキルがない人でも AI で攻撃を自動化できる」です。これまで攻撃には、弱点を探す技術と、何度も試す手間が要りました。その手間を AI が肩代わりし始めています。

入り口として挙がっているのは 2 つです。1 つは、社外から社内のシステムにつなぐ専用の通信の仕組み(VPN)の機器のうち、弱点が残ったものです。もう 1 つは、業務で使う AI のうち、外から遮断されていないものです。

今回の 2 社も、侵入の経路はソフトウェアでした。ミスターマックスは、サービスを構成するソフトウェアの機能を不正に使われたと説明しています。infoQ は、使っていたソフトウェアの弱点を悪用されました。

会社の守り方はどう変わるの?

高橋氏は、特定の国や業種が狙われているわけではない、とも話しています。「うちは小さいから」「うちの業種は関係ない」は通じにくくなりました。

これまでの考え方 これからの考え方
狙われる会社 大企業や特定の業種 弱点が残っている会社
守りの中心 侵入を防ぐ 機器とソフトの状態を常に把握する
AI の扱い 便利な道具 入り口にもなる道具
被害の中身 情報の流出 流出に加え、ポイントなどお金の被害

高橋氏は、組織内の機器の管理など、常にリスクを把握することが不可欠だと述べています。守りは一度買えば終わる設備ではなく、毎月の点検に近いものになっています。

SYNCON の視点 — 攻める側の値下がりに守りを合わせる

AI は、守る側だけの道具ではありません。攻める側にとっても、手間と人手を減らす道具です。攻撃の値段が下がれば、狙われる会社の数は増えます。

経営として決めたいのは 3 つです。社外とつながる機器とソフトの一覧を誰が持ち、更新を誰が確かめるか。社員が仕事で使う AI のうち、外に開いたものを把握しているか。漏れたときに、公表と顧客への連絡を誰が決めるか。

今年の 600 件は、公表された件数です。守りの予算を「事故が起きたら考える費用」から「毎月払う運転費」に置き直す時期です。

要点まとめ

  • トレンドマイクロの集計で、今年公表された国内の不正アクセス被害は 9 月末に 600 件。昨年の 593 件を超えた
  • 集計を始めた 2024 年の 644 件が最多。今年はそれを上回るペース
  • ミスターマックスで最大 173 万 5154 人分、GMOリサーチ&AI で最大 94 万 8,498 件の流出が発表された
  • AI が自動で攻撃した痕跡も一部で見つかり、政府は手口の分析を急ぐ
  • 入り口は、弱点が残った VPN 機器や、外に開いたままの業務用 AI
  • 特定の業種が狙われているのではない。機器とソフトの状態を常に把握する体制が要る

情報ソース:
・ITmedia ビジネスオンライン「不正アクセス、9月末で600件に 専門家『スキルがない人でもAIで攻撃を自動化できる』」(2026 年 10 月 7 日)
・ITmedia ビジネスオンライン「個人情報漏洩ラッシュ ミスターマックス173万人、GMO子会社95万件……AI悪用の疑い」(2026 年 10 月 7 日)
・産経新聞(Yahoo!ニュース)「企業や自治体への不正アクセス、9月末で600件 昨年1年間上回る AI自動攻撃痕跡も」(2026 年 10 月 6 日)
・新潟日報「不正アクセス被害が過去最多ペース、9月末までに600件…AI悪用で攻撃容易になったか」(2026 年 10 月 6 日)
・ITmedia NEWS(Infoseek ニュース)「ミスターマックス、最大173万人分の会員情報流出 不正アクセスで」(2026 年 10 月 6 日)
・ROCKET BOYS「アンケートサイト infoQに不正アクセス、最大94万8,498件の個人情報漏洩の恐れ」

AI・最新テックの動きを、毎日 X でお届けしています

X で @SYNCONJP をフォロー

PR

Amazon プライム感謝祭 10/16(金)〜10/19(月)

コメント

タイトルとURLをコピーしました