藤沢市の分析屋が 9 月 15 日、今ある溶接ロボットに後から付けられる AI「SAMURAI Analyzer for Welding」を発表しました。強い光や煙で人の目には見えない溶接中の様子を撮り、その場で解析します。
経営にとっての論点は、品質の確認を「溶接が終わった後」から「溶接している最中」へ移せるかどうかです。熟練者の勘を数値として残せるかも問われます。
30 秒でわかるポイント
- 今ある溶接ロボットやラインに、カメラと解析用のパソコンを足して使う
- 光や煙の影響を除いた画像から、溶けた金属やワイヤの位置をその場で測る
- 熟練者が経験で見ていた変化を、時間を追った数値で比べられる
1 分でわかる解説
溶接の品質確認は、これまで終わった後の外観検査が中心でした。溶接中は光が強く、人の目で確かめにくいためです。
外観検査で分かるのは、不良があるかどうかです。いつ異常の兆しが出たかを後から追うのは難しく、原因の究明に時間がかかっていました。
| これまで | このシステムを足すと | |
|---|---|---|
| 確かめる時点 | 溶接が終わった後 | 溶接している最中 |
| 分かること | 不良があるかどうか | 不良の前後に何が起きていたか |
| 条件の決め方 | 熟練者の経験に頼る | 数値を並べて比べる |
ここから考えたい 3 つの問い
- あなたの職場の検査は、作業が終わった後にしか行われていませんか?
- 熟練者が「見て判断していること」を、記録として残せていますか?
- 不良が出たとき、その瞬間に何が起きていたかを見返す手段はありますか?
全文を読む(約 4 分)
何が起きたの? — 後から付ける溶接の AI
分析屋は神奈川県藤沢市の会社で、データ分析や AI を手がけています。2026 年 9 月 15 日、溶接専門の AI「SAMURAI Analyzer for Welding」を発表しました。日経クロステックも 10 月 7 日に取り上げています。
使い方は、今ある溶接ロボットや溶接ラインに、専用のカメラと解析用のパソコンを追加するだけです。設備に後から付ける「後付け」を前提に作られています。
公表されている主な機能は、次のとおりです。
| 機能 | 中身 |
|---|---|
| 見る | 溶けた金属のたまり(溶融池)、ワイヤの先端、すき間(ギャップ)、溶接の跡(ビード)を AI が捉える |
| 測る | 形の変化や位置関係を、映像・数値・グラフで出す |
| 残す | 映像と解析結果を保存し、後から見返したり、条件を変える前後で比べたりする |
| 知らせる | 溶け落ちの異常を見つけて知らせる |
価格や導入先は、発表には書かれていません。後付けでのリアルタイム解析を支える技術は、特許を出願中です。
どういう仕組み? — 光と煙を除いて撮る
溶接では、強い光(アーク)と、飛び散る金属の粒(スパッタ)が出ます。煙も上がります。そのため、肝心の加工点は人の目でも普通のカメラでも見えにくいのです。
このシステムは、閃光やスパッタの影響を除いた画像を、特殊なカメラと AI で得ます。そこから溶融池の大きさや、ワイヤ・ヘッドと材料(ワーク)の距離を読み取ります。不具合があるかどうかを、その場で分析します。
解析には、画像の計算が得意な部品(GPU)を積んだパソコンを使い、結果は画面で確かめられます。工場の機械を動かす制御装置(PLC)との連携も想定しています。
たとえるなら、溶接機に付けるドライブレコーダーです。分析屋も、異常の前後の映像と解析結果を自動で残す「溶接ドラレコ」機能を開発中としています。
現場の仕事はどう変わるの?
いちばん大きいのは、品質を確かめる時点が前に動くことです。
| これまで | これから | |
|---|---|---|
| 不良の発見 | 溶接後の外観検査で見つける | 溶接中の変化から兆しをつかむ |
| 原因の追跡 | 何が起きたかを後から追いにくい | 記録を見返し、そのときの状態を確かめる |
| 条件の調整 | 熟練者の経験に頼り、調整と再確認を繰り返す | 数値を比べながら決める |
熟練者の役目がなくなるわけではありません。分析屋は、人が確認・説明・改善に関わり続ける運用を重視しています。AI が出した数値を読み解き、条件をどう直すかを決めるのは、引き続き人です。
今後は、電流・電圧・温度など、現場で取っているデータとの連携も予定しています。
SYNCON の視点 — 熟練者の目を記録に変える
このシステムの価値は、不良を見つけることだけではありません。熟練者が経験で見てきた変化を、時間を追った数値として残せる点にあります。人が辞めても、記録は会社に残ります。
導入を考える前に、決めておきたいことが 2 つあります。1 つ目は、どの不良がいちばん高くついているかです。溶け落ちなのか、すき間の乱れなのか。狙いが決まれば、見るべき数値も決まります。
2 つ目は、数値を誰が読み、誰が条件を直すかです。熟練者をこの役に就け、自分の判断を数値と突き合わせてもらう。それが技能を引き継ぐ近道になります。価格は公表されていないため、まずは自社のラインで試せるかを確かめる段階です。
要点まとめ
- 分析屋が 2026 年 9 月 15 日、溶接専門の AI「SAMURAI Analyzer for Welding」を発表
- 今ある溶接ロボットやラインに、専用カメラと解析用パソコンを後付けして使う
- 閃光や煙の影響を除いた画像から、溶融池の大きさやワイヤの位置をその場で測る
- 映像と解析結果を記録し、溶け落ちの異常を見つけて知らせる
- 品質の確認が「溶接の後」から「溶接の最中」へ動き、熟練者の判断を数値で残せる
- 価格は未公表。数値を読み、条件を直す人を先に決めておきたい
情報ソース:
・日経クロステック「溶接中の異常をAIで即時検出、アークやスパッタを透かして撮像」(2026 年 10 月 7 日)
・PR TIMES(分析屋)「日本の溶接を、次のステージへ。既存溶接ロボットに“後付け”できる溶接専門AI「SAMURAI Analyzer for Welding」を発表」(2026 年 9 月 15 日)
・AI Watch「既存の溶接ロボットに後付けできる溶接専門AI「SAMURAI Analyzer for Welding」」(2026 年 9 月 15 日)
・PEAKS MEDIA「溶融池やワイヤ先端の変化をリアルタイム解析、関連技術は特許出願中」(2026 年 9 月 17 日)
・分析屋「SAMURAI Analyzer for Welding」公式サイト
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