AI音楽生成プラットフォーム「Suno」の著作権フィルターが、極めて簡単に回避できることがThe Vergeの調査で明らかになった。無料ソフトと最小限の工夫だけで、ビヨンセやブラック・サバスの楽曲に酷似したAIカバーを生成できてしまうという。
何が起きているのか
Sunoは「著作権のある素材の使用を許可しない」というポリシーを掲げている。ユーザーは自分のトラックをアップロードしてリミックスしたり、オリジナルの歌詞にAI音楽をつけたりできるが、他人の楽曲や歌詞はブロックされる──はずだった。
しかし実際には、YouTubeにあるカバー版をアップロードする、歌詞のスペルを数か所変えるといった簡単な工夫で、フィルターを通過できてしまう。The Vergeはビヨンセの「Freedom」、ブラック・サバスの「Paranoid」、Aquaの「Barbie Girl」などでテストし、原曲と驚くほど似たAI生成楽曲を作成できたと報告している。
なぜこれが大問題なのか
Sunoはすでに全米レコード協会(RIAA)から訴訟を受けている。2024年6月、RIAAはSunoとUdioの2社を著作権侵害で提訴し、AIモデルのトレーニングに許諾なく著作権楽曲を使用したと主張している。損害賠償額は1曲あたり最大15万ドルだ。
Suno側は「フェアユース(公正利用)」を主張して争っているが、2025年5月には米国著作権局が「表現的作品の無許諾トレーニングはフェアユースに該当しない」という報告書を発表。Sunoの法的立場はさらに厳しくなっている。
こうした状況下で、「著作権フィルターが実質的に機能していない」という事実が明らかになったことは、「自主規制できる」というSunoの主張の説得力を大きく損なう。
インディーアーティストが最も脆弱
大手レーベルの楽曲はフィルターがある程度機能するケースもあるが、DistroKidやBandcampで自主配信しているインディーアーティストの楽曲は、ほぼ無防備だ。The Vergeの記者は、自身のオリジナル楽曲がフィルターに一切引っかからずに通過したことを確認している。
音楽ストリーミング側も対策を進めてはいる。SpotifyやDeezerはAI生成コンテンツやなりすましへの対策を強化しているが、Sunoのようなプラットフォームが大量に生成するAI楽曲の「スロップ(低品質の洪水)」に追いつくのは困難だ。
SYNCONの視点:AI創作ツールと「責任の所在」
Sunoの問題は、AI音楽に限った話ではない。画像生成AIにおける著作権侵害、AIコード生成におけるライセンス問題──「AIが作ったもの」の権利と責任をどう扱うかは、あらゆる業種に関わるテーマだ。
ビジネスでAI生成ツールを導入する際は、「フィルターがあるから安心」ではなく、出力結果の著作権リスクを自社で検証する仕組みを持つことが不可欠になる。AIツールの「利便性」と「法的リスク」は、常にセットで評価すべきだ。
SYNCON FREE DIAGNOSIS
あなたの業務に最適なAIツール、
まだ見つかっていませんか?
8つの質問に答えるだけ。約2分で完了。
SYNCON編集部が、あなた専用のAI活用プランをお届けします。




コメント