5,162 万件、配信の委託先から漏えいか — 預けた顧客情報を棚卸し

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メール配信サービスのユミルリンクが 10 月 26 日、不正アクセスで延べ 5,162 万件余りの個人情報が漏えいした可能性があると発表しました。19 日の第一報では、延べ約 900 万件としていた数字です。

自社が直接攻撃されていなくても、メールの配信を任せた先から顧客の情報が漏れることがあります。これが「委託先リスク」です。

30 秒でわかるポイント

  • ユミルリンクの漏えいの可能性は延べ 5,162 万件余り。件数はまだ増える可能性
  • JR 3 社の新幹線の予約サービスや埼玉県など、利用していた側が発表している
  • 顧客にお詫びするのは、配信を任せた側の会社になる

1 分でわかる解説

多くの会社は、お知らせのメールを自社のサーバーから送っていません。配信を専門の会社に任せ、顧客のメールアドレスをその会社のシステムに預けています。

そのため、配信会社が攻撃されると、預けていた顧客の情報も一緒に持ち出されます。顧客から見れば、謝るのは名前を知っている会社のほうです。

自社が攻撃されたとき 委託先が攻撃されたとき
気づくのは 自社の担当者 委託先の連絡を待つことが多い
原因を調べるのは 自社 委託先
顧客に謝るのは 自社 自社

ここから考えたい 3 つの問い

  • 顧客の情報を、社外のどのサービスに預けているか、一覧になっていますか?
  • 預け先で事故が起きたとき、何日以内に知らせてもらう約束になっていますか?
  • 使わなくなった顧客の情報を、預け先から消してもらっていますか?
全文を読む(約 4 分)

何が起きたの? — 配信会社から延べ 5,162 万件

ユミルリンクは、企業や自治体のメール配信を手がける会社です。10 月 16 日の未明に、一部のシステムへの不正アクセスに気づきました。

第一報によると、攻撃者はプログラムの弱点を突いて、同社のサポート担当者の認証情報を手に入れていました。そのうえで不正なプログラムを置き、データベースからデータを持ち出していました。

件数は、調べが進むにつれて増えています。

発表 内容
10 月 19 日(第一報) 5 システムから、メールアドレスを含む情報が延べ約 900 万件出力されたと試算
10 月 26 日 延べ 5,162 万件余りが漏えいした可能性。調査を続けており、さらに増える可能性

漏れた情報には、少なくとも登録されたメールアドレスが含まれます。氏名や住所などが含まれるかどうかは確認中です。「延べ」なので、同じ人が何度も数えられている可能性があり、人数とは一致しません。

利用していた側の発表も続いています。JR 東海、JR 西日本、JR 九州の JR 3 社は 26 日、新幹線の予約サービス「スマートEX」と「エクスプレス予約」の登録情報が漏えいしたと発表しました。メールアドレスや片仮名の氏名が含まれ、件数は確認中です。

「委託先リスク」って何? — 預けた先の、さらに先

委託先リスクとは、仕事を任せた社外の会社で起きた事故が、自社の事故になることです。メール配信のほか、会員の管理や予約の受付、問い合わせの窓口なども同じです。

見落としやすいのは、任せた先が、さらに別の会社のサービスを使っている場合です。埼玉県の例がそうでした。

立場 会社・団体 役割
任せた側 埼玉県 「ぷらっとさいたま -スマート農業導入ナビ-」を持つ
任された側 ナレッジクライマー サイトの管理運営を受託
その先 ユミルリンク ナレッジクライマーが使うメールマガジンのシステムを運営

埼玉県は、このサイトを通じて集めた 669 者の情報が流出した可能性があると発表しました。県が直接契約していたのは運営会社で、配信会社とは契約していません。それでも、お詫びのメールを送ったのは県でした。

会社の守り方はどう変わるの?

これまでの守りは、自社のパソコンやサーバーを固めることが中心でした。顧客の情報が社外のサービスに散らばった今は、それだけでは足りません。

これまで これから
守る範囲 自社のパソコンとサーバー 顧客の情報を預けている社外のサービスまで
把握すること 自社のシステムの一覧 預け先と、その先の会社の一覧
事故の連絡 社内の報告の流れ 委託先から何日で知らせてもらうかを契約で決める

日経クロステックによると、9 月末以降、国内で大規模な情報漏えいが相次いでいます。漏えいが 10 万件を超えた事件も 10 件以上に達しました。自社だけを固めても、預け先が狙われれば同じことが起きます。

SYNCON の視点 — 預けた情報の棚卸しと契約

最初にやることは、棚卸しです。メール配信、会員の管理、予約、アンケートなど、顧客の情報を社外のどのサービスに預けているかを一覧にします。担当の部署ごとに契約していると、全体を誰も知らないことがあります。

次に、預ける量を見直します。配信に要るのがメールアドレスだけなら、住所や電話番号まで預ける必要はありません。退会した人や、何年も配信していない人の情報は消してもらいます。預けていない情報は、漏れようがありません。

最後に、契約で決めておくことです。事故のときに何日以内に知らせてもらうか。任せた先が、さらに別の会社を使うときに知らせてもらうか。契約が終わったとき、データを確実に消してもらうか。値段と機能だけで委託先を選ぶと、事故の日に打つ手がなくなります。

要点まとめ

  • ユミルリンクが 10 月 26 日、延べ 5,162 万件余りの個人情報が漏えいした可能性を発表。第一報の延べ約 900 万件から増えた
  • 少なくともメールアドレスが含まれ、氏名や住所は確認中。件数はさらに増える可能性
  • JR 3 社の新幹線の予約サービスや埼玉県など、利用していた側が相次いで発表
  • 埼玉県の例では、任せた先が使う配信会社から 669 者の情報が流出した可能性
  • 顧客の情報の預け先を一覧にし、預ける量を減らし、連絡の期限と削除を契約で決める

情報ソース:
・共同通信「5162万件超が漏えいか メール配信のユミルリンク」(Yahoo!ニュース、2026 年 10 月 26 日)
・時事通信「ユミルリンク、情報流出5000万件超=不正アクセスで」(Yahoo!ファイナンス、2026 年 10 月 26 日)
・ユミルリンク「当社システムへの不正なアクセスに関するご報告(第一報)」(2026 年 10 月 19 日)
・埼玉県「ユミルリンク株式会社で発生した不正アクセスに伴う個人情報流出の可能性について」(2026 年 10 月 20 日)
・日経クロステック「国内で大規模な情報漏洩相次ぐ」(2026 年 10 月 27 日)

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