漢字の検定を運営する日本漢字能力検定協会が 10 月 20 日、公式 X で謝罪しました。AI で作った画像の中で、「祭」の字が誤っていたためです。
画像を作る AI は、絵の中の文字をよく間違えます。会社の発信に使うなら、公開の前に誰が何を確かめるかを先に決めておく必要があります。
30 秒でわかるポイント
- 漢検協会が、検定の投稿に添えた AI 画像の「祭」の誤字を謝罪
- 画像を作る AI にとって、文字は言葉ではなく線と形の組み合わせ
- 8 月には味の素も、AI で加工した写真の文字崩れで謝罪
1 分でわかる解説
画像を作る AI は、文字を「読める言葉」として描いていません。線と形の組み合わせとして、それらしく描いているだけです。そのため、全体は正しく見えても、細部が違う字が混ざります。
やっかいなのは、作った本人が見落としやすいことです。漢字の専門団体でさえ、公開前に気づけませんでした。
味の素の例では、写真の明るさや背景を AI で変えただけで、商品の文字が崩れました。文字を描かせたつもりがなくても、確認は要るということです。
ここから考えたい 3 つの問い
- あなたの職場では、AI で作った画像の文字を、公開前に誰が確かめていますか?
- 画像の中の文字は AI に描かせず、後から人が入れる手順にできますか?
- 誤りを指摘されたとき、誰がどう応えるかは決まっていますか?
全文を読む(約 4 分)
何が起きたの? — 「祭」の字の誤り
日本漢字能力検定協会は、漢字の検定(漢検)を運営する団体です。10 月 18 日に「2026 年度第 2 回日本漢字能力検定」を実施しました。
同じ日、協会は公式 X で、受検した人に自己採点の結果を募る投稿をしました。その投稿に添えた画像には、「AI で生成」というラベルが付いていました。
この画像の中で、「祭」という字の一部が誤っていました。X の利用者からは指摘が相次ぎ、「これを出そうって神経が分からない」という声も上がりました。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 10 月 18 日 | 検定を実施。自己採点を募る投稿に AI の画像を添える |
| その後 | X の利用者から誤字の指摘が相次ぐ |
| 10 月 20 日 | 同じ投稿への返信の形で「誤字があった」と謝罪 |
協会はその後、実際の検定で多く見られる「祭」の誤字 4 例を紹介する投稿もしました。開き直りを評価する声もあれば、厳しい見方もあり、受け止めは分かれています。
似た例は、ほかの企業にもあります。味の素は 8 月 14 日、交流サイト(SNS)で自社商品の写真を紹介しました。AI で明るさや背景を変えた際に、商品の文字やラベルが崩れていました。同社は 8 月 16 日に「確認が不足しており」と謝罪しています。
なぜ AI は文字を間違えるの?
画像を作る AI は、文章で頼んだ内容から絵を描きます。目指すのは「それらしい見た目」です。
ロッテルダム・スクール・オブ・マネジメントの解説記事は、その理由をこう説明しています。画像を作る AI にとって、文字は意味のある言葉ではありません。線と形の、より細かな組み合わせにすぎません。
さらに、文字にはさまざまな書体があります。そのため AI は、文字をどう正しく描けばよいかをつかみにくい、とされています。
たとえるなら、読めない外国の文字を、見た目だけを頼りに書き写すようなものです。全体の形は似ていても、点や払いが本物と違うことがあります。書いた本人には、その違いが分かりません。
味の素の例が示すように、文字を新しく描かせなくても起きます。写真の一部を AI で直しただけで、写っていた文字まで描き直されることがあります。
広報の仕事はどう変わるの?
これまで画像の文字は、人が入力したものでした。誤りといえば、打ち間違いや事実の誤りが中心でした。
AI で作った画像では、字の形そのものが崩れます。確かめる対象が増え、確かめ方も変わります。
| 項目 | これまで(人が作った画像) | これから(AI で作った・直した画像) |
|---|---|---|
| 起きやすい誤り | 打ち間違い、事実の誤り | 字の形の崩れ、ロゴやラベルの変形 |
| 見る場所 | 文言と数字 | 文言と数字に加え、字の細部や商品の表示 |
| 見落としやすい人 | 入力した本人 | 作った本人(それらしく見えるため) |
漢検の件で批判が向いたのは、画像の出来だけではありません。「これを出そう」と決めた判断にも向きました。誤りは小さくても、公開を決めた手順が問われます。
SYNCON の視点 — 「誰が字を見たか」を決めておく
AI の画像を広報に使うこと自体は、手間を減らす有効な手段です。問題は、作る速さに確認の手順が追いついていないことです。
決めておきたいのは次の点です。まず、社名・商品名・ロゴが入る画像では、文字を AI に描かせず、後から人が入れること。次に、公開前に作った人とは別の人が、画像を拡大して字を見ること。そして、指摘が来たときに誰が応えるかです。
漢検の件は、専門分野の誤りほど目立つことを示しました。自社にとっての「祭」は、社名や看板商品の表記です。そこが崩れたときの傷が最も大きいと考え、確認の重点を置くのが現実的です。
要点まとめ
- 漢検協会が、AI で作った画像の「祭」の誤字を 10 月 20 日に謝罪した
- 画像を作る AI にとって、文字は言葉ではなく線と形の組み合わせ
- 写真を AI で直しただけでも、写っていた文字が崩れることがある(味の素の例)
- 作った本人は誤りを見落としやすく、別の人の確認が要る
- 社名・商品名・ロゴは AI に描かせず、後から人が入れる手順が安全
情報ソース:
・ITmedia AI+「漢検運営が「AIで生成」画像で漢字ミス→謝罪 「これを出そうって神経が分からない」の声も」(2026 年 10 月 22 日)
・AdverTimes(宣伝会議)「「HONDASHI」が「MONDASHI」に…味の素、AI加工で自社商品が「別物」になり謝罪」(2026 年 8 月 19 日)
・Rotterdam School of Management, Digital Strategy「Is it difficult for GenAI to generate picture with text on it?」(2024 年 10 月 7 日)
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