AI に読ませる前に「神 Excel」を採点 — デジタル庁の無料ツール

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デジタル庁が、Excel の表が「機械に読みやすいか」を 100 点満点で採点する無料のツール「Harunobu(はるのぶ)」を公開しました。

印刷の見た目を優先してセルを結合した、いわゆる「神 Excel」は、AI に社内の表を読ませるときの壁になります。このツールは、どの表から直すかを決める物差しに使えます。

30 秒でわかるポイント

  • デジタル庁の「Harunobu」が、Excel などの表を 100 点満点で採点
  • 判定に使うルールは 30 個。セル結合や見出しの付け方を見る
  • 採点結果を ChatGPT に渡し、表を直すプログラムを作る例も紹介

1 分でわかる解説

採点は AI ではなく、決まったルールで行います。生成 AI で起こりうる確率的な誤りを避けられ、人が目で確かめるより速く処理できるとしています。

人が見やすいように整えた表ほど、機械はつまずきます。ルールに挙がっている例を並べると、次のとおりです。

人が見やすくする工夫 機械がつまずく点
セルを結合して見出しをまとめる どの列が何の項目か決まらない
1 つのセルに複数の値を書く 値を分けて数えられない
数字に文字を混ぜて書く 数値として計算できない
体裁のための空白や改行 表が途中で切れたように見える

点数が低い表ほど、AI に読ませる前の手直しが要ります。直す順番を、勘ではなく点数で決められます。

ここから考えたい 3 つの問い

  • AI に読ませたい表のうち、セルを結合しているものはどれくらいありますか?
  • 印刷して配るための表と、データとして使う表を、分けて持っていますか?
  • 長年使ってきた様式を変えるとき、誰が使う人たちと話をつけますか?
全文を読む(約 4 分)

何が起きたの? — 「神 Excel」を採点するツール

デジタル庁が、表のファイルが機械にとって読みやすいかを判定するツール「Harunobu」を公開しました。ITmedia AI+ が 10 月 21 日に伝えています。

ソフトの中身を公開して共有するサイト(GitHub)に置かれ、誰でも入手できます。ツールの部分は、自由に使ってよい条件(MIT ライセンス)で公開されています。

項目 内容
作ったところ デジタル庁の Fact & Data Unit
読めるファイル Excel、区切り文字で値を並べたテキスト(CSV・TSV)
判定の基準 行政データの機械可読性ルール(2026 年 3 月 31 日決定)
ルールの数 30 個
結果 100 点満点の点数と、違反した箇所・理由の一覧

判定の基準は、各府省庁で決めた「行政データにおける機械可読性ルール」です。リポジトリは、このルールを使いやすく、システムに組み込みやすくすることを目的にしています。

名前は、江戸時代の浮世絵師・鈴木春信に由来します。多色刷りの錦絵は、版を何枚も重ねて仕上げます。ルールを重ねて機械が読めるデータを作る、という考えを込めたそうです。

「神 Excel」って何? どう採点するの?

「神 Excel」は、紙に印刷したときのレイアウトを優先し、セル結合などを多用した表のことです。行政でも民間でも使われています。

デジタル庁は、こうした表が「AI にとって使いやすいとは限らない」と指摘しています。人の目には整って見えても、機械には項目の区切りが分からないためです。

ルールには重さが 4 段階あります。いちばん重い違反があると、その表は 0 点です。たとえば次のような点を見ます。

ルールの例 重さ
各列に、区別できる項目名が付いているか 違反すると 0 点
数値の欄に、文字が混ざっていないか 違反すると 0 点
セルを結合していないか 10 点の減点
1 つのセルに 1 つのデータか 10 点の減点
データの単位が書いてあるか 10 点の減点

結果は、プログラムが読み取りやすい形式(JSON)などで出ます。このため、生成 AI などの別の仕組みに渡せます。デジタル庁の公式ブログでは、採点結果をもとに ChatGPT で Excel の加工プログラムを作り、データを整える例を紹介しています。

仕事や会社はどう変わるの?

社内の表を AI に読ませる取り組みでは、最初につまずくのが表の形です。これまでは、どの表が悪いのかを担当者の感覚で判断するしかありませんでした。

これまで これから
直す表の選び方 担当者の感覚 点数の低い順に並べる
判定のぶれ 見る人によって違う 同じルールで同じ結果
直し方 手作業で作り直す 採点結果を AI に渡し、加工の手順を作らせる

ただし、すぐに誰でも使える形ではありません。自社のパソコンに入れて動かす必要があります。ブラウザの画面で採点する仕組みも付いていますが、自分で起動する形です。社内の IT 担当者か、外の協力会社に頼むのが現実的です。

AI で判定を補う機能を使うときは、AI サービスを外から呼び出すための鍵(API キー)が別に要ります。また、デジタル庁は判定の正確さや完全さを保証していません。点数は目安として使い、最後の判断は人が持つことになります。

SYNCON の視点 — 直すのは表より、表の作り方

点数より大事なのは、低い点の表がなぜ生まれるかです。多くの場合、印刷して上に出すための様式が、そのままデータの入れ物を兼ねています。1 枚の表に、見せる役と貯める役を両方させているのです。

そこで決めたいことがあります。まず、印刷用の表とデータ用の表を分けること。次に、新しく作る表は、最初から機械が読める形を基準にすること。最後に、手を付ける順番です。AI に読ませたい業務で、毎月同じ形で作る表から始めると、手直しの効果が積み上がります。

行政が自分たちの表を採点する基準を公開した意味もあります。役所や取引先とのデータのやり取りでも、同じ基準が共通の物差しになっていくかもしれません。社内の様式を見直すとき、この 30 個のルールを下敷きにできます。

要点まとめ

  • デジタル庁が、表が機械に読みやすいかを 100 点満点で採点する「Harunobu」を公開
  • 判定は 30 個のルールで、AI ではなく決まったルールで行う。重い違反は 0 点
  • セル結合や「1 つのセルに 1 つのデータ」は、それぞれ 10 点の減点
  • 結果を生成 AI に渡せる。ChatGPT で表の加工プログラムを作る例も公式に紹介
  • 使うには自社のパソコンに入れる作業が要り、判定の正確さは保証されない
  • 決めたいのは、印刷用とデータ用の表を分けることと、直す表の順番

情報ソース:
・ITmedia AI+「デジタル庁、「神Excel」対策ツールを公開 AIと組み合わせたデータ整備方法も紹介」(2026 年 10 月 21 日)
・デジタル庁「machine_readability_rule」(GitHub)
・デジタル庁「machine_readability_rule」ルールの配点表(GitHub)

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