AI時代の「IT予算」はどう変わるのか?──McKinseyが示す3つの再配分シフト

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「AI投資は長期的成長を支えるが、短期的にはIT予算を圧迫している」──McKinseyの最新調査が、世界中のCIO(最高情報責任者)が直面するジレンマを浮き彫りにしている。

IT予算は増えている。でも成果は?

米国の企業IT支出は2022年以降、年平均8%のペースで増加している。一方、同じ期間の労働生産性の伸びはわずか2%。投資に見合うリターンが得られていない──これがMcKinseyが指摘する構造的な課題だ。

Gartnerの予測では、2026年のグローバルAI支出は2兆ドル(約300兆円)に達する。問題は「AIに予算を回すために何を削るか」だ。

3つの再配分シフト

1. 設備投資(CapEx)→ 運用支出(OpEx)

クラウド化とSaaS化により、IT支出の79%がすでに運用支出に移行している。ハードウェアを所有するモデルから、使った分だけ払うモデルへ。この流れはAIの推論コスト(トークン課金)でさらに加速する。

2. 保守(Run)→ 成長(Grow/Transform)

McKinseyの調査によると、高パフォーマンス企業はデジタル予算の20%以上をAI技術に投じている。通常の企業との差は明確だ。高パフォーマンス企業の約4分の3がAIのスケール化に着手している一方、それ以外の企業は3分の1に留まる。

重要なのは「AI専用予算」を設けることではない。CIO.comの識者が指摘するように、AIをERP、クラウド、セキュリティと同じ「通常の投資カテゴリ」として扱い、Run(保守)/ Grow(成長)/ Transform(変革)のフレームワークで管理することだ。

3. 人件費 → コンピュート費

AIの普及でエンジニアの生産性が上がれば、人件費は相対的に下がる。しかしその分、AIエージェントを動かすためのコンピュート費(推論コスト)が増大する。McKinseyは「コンピュートコストが生産性向上を上回るリスクに注意すべき」と警告している。

CIOの新しい役割:コスト管理者から戦略パートナーへ

McKinseyの調査によると、高パフォーマンス企業のCIOは「IT運用の管理者」ではなく「CEOの戦略パートナー」として機能している。回答企業の半数が2026年のIT予算を4%以上増額する計画で、高パフォーマンス企業の28%は10%以上の増額を予定している。

予算が増えるからこそ、「何に使うか」の判断精度が問われる。四半期ごとのレビューで成果が出ない案件の予算を切り、伸びている案件に再配分する──この「バランスシート視点」がCIOに求められている。

SYNCONの視点

「とにかくAIをやれ」──多くの経営層がIT部門に発している指令だ。しかし、このプレッシャーが予算配分のミスを生んでいるとMcKinseyは指摘する。

AI以外のモダナイゼーション(レガシーシステムの刷新)を止めてAIに全振りする企業は、結果的にAIの恩恵すら受けられなくなるリスクがある。古い基盤の上にAIを載せても、スケールしないからだ。

自社のIT予算がどう配分されているか。「AIに使っている」と言えるだけでなく、「何を削ってAIに回しているか」を説明できるか。その問いが、2026年のCIO──そしてすべての管理職──に突きつけられている。

ソース

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