Shopify特化のEC支援で知られる増田大夢氏(@hiromu_bdy)が、ShopifyのB2B機能全プラン開放について、実務目線で詳細に解説し話題になっている。
SYNCONでは、この動きの背景とビジネスインパクトを深掘りする。
何が起きたのか
2026年4月2日、Shopifyはこれまで最上位プラン「Shopify Plus」でしか使えなかったB2B(企業間取引)機能を、Basic・Grow・Advancedの全プランに追加料金なしで開放した。約4年間、Plusユーザーとともに磨き上げてきたB2B機能の土台が、数百万のマーチャントに一気に渡ったことになる。
全プランで使えるようになった主な機能
- 卸売バイヤー向けの会社プロフィール管理
- 最大3つのカスタムカタログ(取引先ごとの価格設定)
- 数量割引・ロット単位の注文ルール
- クレジットカード情報の保存(Vaulted Cards)
- 支払い条件(後払い・掛け払い等)の設定
なお、無制限カタログ・カタログの直接割り当て・分割払い・デポジットなど、より高度な機能は引き続きPlusで提供される。
なぜこれが大きいのか
増田氏が的確に指摘しているように、従来のShopifyでB2Bを実現するには「プラグインのつぎはぎ」が避けられなかった。卸売価格を別システムで管理し、注文はメールや電話で手作業。データが分散して「どの数字が正しいのか分からない」状態に陥るケースが珍しくなかった。
今回の開放のポイントは、B2Bがサードパーティの後付けではなくプラットフォームのコア機能として組み込まれていること。既存のShopify Flow(ワークフロー自動化)、Shopify Payments、Marketsといった基盤がそのままB2Bにも適用される。DtoCとB2Bが「同じ管理画面・同じデータ」で動くことの意味は大きい。
数字で見るインパクト
Shopifyの公式発表によれば、B2B機能導入後6ヶ月以内にセルフサービス注文が最大33%増加、リオーダー頻度が最大20%向上したデータがある。さらに、B2Bの注文はDtoCと比較してリオーダー頻度が最大4.1倍に達するという。
そして見逃せないのが市場規模だ。グローバルのB2B EC市場は36兆ドル規模。DtoCとは文字通り桁が違うポテンシャルが眠っている。
日本企業への示唆──「卸売DX」の敷居が一気に下がった
増田氏は活用のポイントとして3点を挙げている。
① 卸先の整理から始める。すでにバイヤーから問い合わせが来ているなら、会社プロフィールを作りカタログを設定するだけで、バイヤーがセルフで注文できる環境が整う。電話・メール受注の手間が大幅に削減される。
② 価格体系を設計する。最大3つのカタログを使い、「一般小売価格」「量販店価格」「代理店価格」のように取引先の種類ごとに価格を分けられる。これまでExcelと手作業で回していた企業にとっては大きな変化だ。
③ Shopify Flowで自動化する。注文が入ったら自動でタグ付け・請求書送付・担当者への通知。特にリオーダーが多い消耗品・食品・部品といった商材との相性が良い。
SYNCONの視点
今回のアップデートの本質は、「B2B機能の追加」ではなく、「DtoCとB2Bの境界線を消した」ことにある。
日本ではいまだに「卸売」と「直販」を別のシステム、別のチーム、別のオペレーションで回す企業が大半だ。しかしShopifyは「すべてを1つのプラットフォームに統合する」という明確な思想を全プランに降ろした。これは中小企業にとって、大企業並みの卸売インフラを追加コストなしで手に入れられることを意味する。
「卸売をやりたくても、ツールの壁があった」──増田氏のこの一言が、まさに今回のアップデートの核心を突いている。ツールの壁が消えた今、問われるのは「やるかやらないか」だけだ。
ソース
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