テスラ新型ロードスター、9 年越しの発表 — 価格は未定、生産は 2028 年目標

DEEP SYNC
覆いが外された白いスポーツカーを、ロボットと人が見上げているイラスト(AI で生成)

テスラが日本時間 10 月 16 日の朝、新型スポーツカー「ロードスター」を発表しました。2017 年の初公開から約 9 年、延期を重ねての発表です。ただ、車両の価格はまだ示されておらず、2028 年の生産開始も目標の段階です。

30 秒でわかるポイント

  • 公道向けの「Performance」、ガスを噴く装置を積んだレース向けの「Thrust」、1 人乗りで招待制の「Rocket」の 3 種類です。
  • 価格は未発表です。予約金は Performance で計 5 万ドル、日本では計 682 万円です。
  • マスク氏は、生産開始を 2028 年としました。2017 年には 2020 年の発売を掲げていました。

1 分でわかる解説

9 年前の約束と、今回の発表を並べると次のようになります。

項目 2017 年の約束 今回の発表
発売・生産 2020 年に発売 2028 年に生産開始(目標)
価格 20 万ドルから 未発表
予約金 5 万ドル 計 5 万ドル(Performance)
航続距離 620 マイル(約 998 km) 300 マイル(約 483 km)超
座席 4 人乗り 最大 2 人乗り

ここから考えたい 3 つの問い

  • 製品の発表で、約束の数字と実際の数字を並べて見ていますか?
  • 予約金と、本当の価格を分けて考えていますか?
  • 「目標」と書かれた時期を、どれくらいの幅で受け止めていますか?
全文を読む(約 4 分)

何が起きたの?

テスラは米中部時間 10 月 15 日夜(日本時間 16 日 10 時ごろ)、米テキサス州にある SpaceX の試験場で発表会を開き、X で配信しました。当初は 10 月 1 日の予定でしたが、天候を理由に延びていました。

発表されたのは 3 種類です。

種類 どんな車 0-60 マイル加速(テスラの主張) 予約金
Performance 公道向け、2 人乗り 1.6 秒未満 計 5 万ドル
Thrust レース向け、2 人乗り。後ろにガスを噴く装置 0.9 秒未満 25 万ドル
Rocket 1 人乗り、招待制 0.59 秒未満 未確認

0-60 マイル加速は、止まった状態から時速約 97 km に達するまでの時間です。最高速度の時速 230 マイル(約 370 km)超は、Rocket だけの数字です。テスラの説明では、Rocket は公道を走る認可を受けていません。

会場では、ファンで車体を吸い付けて逆さまのまま坂を走る、宙返りをして装置で姿勢を立て直して着地する、といった実演がありました。米 Engadget の記者は、これらの動きはプログラムによる制御とみられると伝えています。

2017 年の初公開から 2020 年発売の約束、延期を経て 2026 年 10 月の発表、2028 年の生産開始目標までの流れの図
テスラの発表と Electrek、Reuters の報道をもとに SYNCON が作図

どうやって動くの? — 吸い付く・噴く・立て直す

デモでは、車が曲がった坂を登って逆さまになり、宙返りをして 4 輪で着地しました。テスラの説明と報道をもとに、仕組みを 3 つに分けます。

曲がった坂に車の底を吸い付けて登り、逆さまで跳び、ガスを噴いて姿勢を戻し、4 輪で着地するまでの流れのイラスト(AI で生成)
テスラの説明と報道をもとに SYNCON が作成(AI で生成したイメージ)
仕組み どう動くか 分かっていること
吸い付く ファンで車体の下の空気を吸い出し、路面とのすき間をふさいで車を押し付ける。止まっていても逆さまのまま保てると、テスラは説明しています 押し付ける力の数字は未公表。報道の数字は食い違っています
噴く 圧縮した空気をノズルから噴き出し、タイヤに頼らずに車を押す。テスラは「タイヤの 4〜5 倍の力」と主張しています 報道によると、テスラの幹部は空気を約 250 kg 積み、ノズルは 10 個と説明しました
立て直す 空中で噴射を細かく調整し、車の姿勢を安定させる 着地をどう制御するかの詳しい説明は出ていません

0-60 マイルの 0.81 秒は、テスラが X で示したデモの数字で、計測の条件は示されていません。車内は無人で、マスク氏はデモを安全のため自動で走らせたと話しています。運転席に座っていたのは人形です。

テスラが公開したデモの動画です。

どこまで確かめられているの?

加速や航続距離の数字は、いずれもテスラの主張で、第三者が測ったものではありません。「飛べる」という Rocket も、実演は短い跳躍と姿勢の制御までです。2028 年の生産開始も目標です。米 Electrek は 10 月 13 日の記事で、生産時期の延期が少なくとも 6 回あったと数えています。

日本でも予約を受け付けています。予約金は計 682 万円で、まず 68 万円を払い、10 日以内に残りの 614 万円を払う形です。車両の価格と納車の時期は、日本でも示されていません。

米 Reuters によると、調査会社 Morningstar のアナリストは、ブランドの看板になる車として年 2,000 台程度を見込んでいます。一方で、商業的な価値は乏しいとみる投資家もいます。投資家にとっては、10 月 21 日の 7〜9 月期決算のほうが重いという声もあります。株価の反応は、日本時間 16 日夜からの米国の取引で分かります。

※円換算は 1 ドル= 158.19 円(2026 年 10 月 16 日、三菱 UFJ 銀行の TTS・TTB の中間値)。日本の予約金 682 万円はテスラが決めた額で、この換算とは一致しません。

SYNCON の視点 — 派手な実演より、約束の数字と並べて見ると判断しやすくなりそうです

9 年前の約束と比べると、2020 年の発売の約束に対して、今回は 2028 年の生産開始が目標です。航続距離は約半分、座席は半分になりました。一方で、ガスを噴く装置を積んだ上位の種類では、加速の数字が大きく伸びています。何を残し、何を手放したかが見えてきます。

新しい製品の発表を見るときは、価格・時期・性能を「前に約束した数字」と並べておくと、期待と実際の差がつかみやすくなりそうです。予約金を価格と取り違えないことも大切です。

テスラにとってロードスターは、台数で稼ぐ車というより、ブランドの看板の役目が大きそうです。会社としての力を見るなら、10 月 21 日の決算で、主力の車やロボタクシーの数字を確かめるのがよいかもしれません。

未確認の点:Rocket の予約金、電池の容量、生産する工場は確認できていません。日本向けは Performance の左ハンドルのみと transcarweb が伝えていますが、テスラの日本のページでは確かめていません。

情報ソース:
・Tesla(@Tesla)の X の投稿(発表の配信と仕様、2026 年 10 月 15〜16 日)
・Reuters「Tesla’s new Roadster turns in air with SpaceX thrusters, won’t land until 2028」(2026 年 10 月 16 日)
・Electrek「Tesla sets Roadster event for Thursday after nearly 9 years of delays」(2026 年 10 月 13 日)、「Tesla unveils Cyberfied new Roadster that can kickflip」(2026 年 10 月 15 日)
・TechCrunch「Tesla reveals SpaceX-powered Roadster that flies and falls with style」(2026 年 10 月 15 日)
・paul tan’s automotive news「Tesla Roadster revealed」(2026 年 10 月 16 日)
・Engadget「Tesla Roadster reveal live: Updates from the launch of the next-gen sportscar」(2026 年 10 月 15 日)
・carview!「テスラ 新型スポーツカー「ロードスター」世界初公開! 日本でも予約スタート」(2026 年 10 月 16 日)
・transcarweb、ITmedia NEWS(2026 年 10 月 16 日)
・三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替相場」(2026 年 10 月 16 日)

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