国産の AI「PLaMo」が、約 800 の自治体が導入する行政向けの AI に組み込まれています。開発元の Preferred Networks(PFN)が、10 月の展示会「CEATEC 2026」で使われ方を紹介しました。
大事なのは「国産か海外製か」の二択ではありません。データをどこに置くか、日本語をどこまで読ませるかで、用途ごとに選び分けることです。
30 秒でわかるポイント
- PFN の PLaMo は、海外の AI を土台にせず一から作った国産の AI
- データを外に出したくない役所や工場は、自前のサーバーで動かしている
- AI 面接では、繁忙期は海外製、能力の評価は PLaMo と使い分けている
1 分でわかる解説
PLaMo が選ばれる理由は、事例を見ると大きく分けて 2 つです。データを社外に出さずに済むことと、日本語の文章を日本語の文脈で読めることです。
| 選ばれた理由 | 使われている例 |
|---|---|
| データを外部のクラウドに出したくない | 第一法規の「ELDA」(自治体向けに、自前のサーバーで動かす) |
| 日本語の文章を日本語の文脈で読みたい | 小論文の添削サービス「ろんじろう」 |
つまずきやすいのは、AI に全部を任せようとすることです。添削でも「どの観点で見るか」は、AI の外側に作った仕組みが担っています。
ここから考えたい 3 つの問い
- あなたの職場で AI に渡しているデータは、どこに置かれていますか?
- その AI は、日本語の長い文章をどこまで正しく読めていますか?
- 1 つの AI で全部の仕事を済ませようとしていませんか?
全文を読む(約 5 分)
何が起きたの? — 国産 AI の使われ方が見えてきた
PFN は 10 月 13 日から 16 日まで、幕張メッセ(千葉県)で開かれた家電と IT の展示会「CEATEC 2026」に出展しました。展示の中心は、自社で開発した AI「PLaMo」の活用事例です。
PLaMo は、文章を読んで書く AI の頭脳にあたる仕組み(大規模言語モデル、LLM)です。海外のモデルを土台にせず、一から開発しています。
| 分野 | 使っているところ | 用途 |
|---|---|---|
| 政府 | デジタル庁の生成 AI 基盤「源内」 | 2025 年 12 月から翻訳サービス「PLaMo翻訳」を利用 |
| 自治体 | Polimill の「QommonsAI」(約 800 の自治体が導入) | 市民からの長文の意見を読み、返信案を作る |
| 法律情報 | 第一法規の「ELDA」(試験版) | 自社の法情報をもとに回答を作る |
| 教育 | 「ろんじろう」、滋賀大学 | 小論文の添削、全学生と教職員へのチャットと翻訳 |
| 採用 | 「タレスカAI面接」(沖縄セルラー電話など) | 新卒採用の面接と評価 |
源内では、2026 年 3 月に「PLaMo 2.0 Prime」が試用のモデルにも選ばれました。滋賀大学は 4 月から、チャットサービス「PLaMo Chat」と PLaMo翻訳を提供しています。
国産 AI は海外製と何が違うの?
1 つ目の違いは、データの置き場所です。官公庁や研究機関、製造業では、データを外部のクラウドに出したくない声が多いといいます。
そこで、自社の建物の中のサーバーで AI を動かす使い方(オンプレミス)が選ばれています。第一法規は ELDA を、自治体向けにこの形で動かしています。エフサステクノロジーズは、AI 用のサーバー「PRIMERGY」に PLaMo を載せて出荷する形も用意しています。
2 つ目は日本語です。ろんじろうは、生徒の小論文や作文を 1 分ほどで添削します。論理のつながりや実体験の書き方など、教員の観点に沿って指摘します。書き直すと、前回の指摘が直っているかも確かめます。
日本語で書かれた文章を、日本語の文脈で読む力が要る用途です。記事は、PLaMo を使う意味が大きい用途だと伝えています。
PFN は、AI 用の半導体「MN-Core」から AI のモデル、アプリまでを自社で手がけています。自社のモデルなので、性能と用途の相性をつかみやすく、用途ごとに使い分けられる点を利点に挙げています。
どこでつまずきやすいの?
事例から見えるつまずきは、主に 2 つです。
1 つ目は、1 つの AI で全部を済ませようとすることです。タレスカAI面接では、新卒採用の繁忙期に大量の処理をさばくため、「GPT」や「Gemini」などの海外モデルを面接に使うこともあります。
一方、標準で用意する 8 つの基礎能力の評価には PLaMo を使っています。評価は面接ほど速さを求められず、品質が重視されるからです。
| 仕事 | 重視すること | 使う AI |
|---|---|---|
| 繁忙期の面接の処理 | 大量の依頼をさばく | 海外モデルを使うこともある |
| 8 つの基礎能力の評価 | 速さより品質 | PLaMo |
2 つ目は、AI のモデルに全部を任せることです。ろんじろうでも、どの観点で見るか、書けない生徒にどんな材料を示すかは、モデルの外に作ったアプリが担っています。
モデルに任せる部分と、アプリで作り込む部分を分けて設計することが大事だ、と記事は伝えています。
会社の AI 選びはどう変わるの?
これまで AI を選ぶときは、「どの AI がいちばん賢いか」で比べがちでした。事例が示すのは、仕事ごとに物差しを変える選び方です。
| これまで | これから |
|---|---|
| いちばん賢い AI を 1 つ選ぶ | 仕事ごとに AI を使い分ける |
| AI の性能だけで比べる | データの置き場所と日本語の読み取りも比べる |
| AI を入れれば仕事が回る | 観点や手順は、AI の外の仕組みで作り込む |
SYNCON の視点 — 国産かどうかより「仕事ごとの物差し」
国産 AI を選ぶ理由は、「国産だから」ではなく仕事の条件です。社外に出せないデータを扱うのか。日本語の長い文章を細かく読ませるのか。この 2 つに当てはまる仕事なら、国産を候補に入れる理由があります。
逆に、量をさばく仕事なら、海外製を併用する選択もあります。PFN の採用サービス自身が、繁忙期にそうしています。1 社の AI に決め打ちしないことが、事例から読み取れる教訓です。
まず決めたいのは、社内の仕事を「出せないデータか」「日本語の読み取りが要るか」「量が多いか」で仕分けることです。そのうえで、AI に任せる部分と、人や社内の仕組みで作り込む部分を分けて考えます。
要点まとめ
- PFN の国産 AI「PLaMo」は、海外のモデルを土台にせず一から開発されている
- デジタル庁の「源内」や、約 800 の自治体が導入する「QommonsAI」で使われている
- データを外部のクラウドに出したくない組織は、自前のサーバーで動かす形を選んでいる
- 日本語の文章を日本語の文脈で読む小論文の添削は、国産を使う意味が大きい用途
- AI 面接では、繁忙期の処理は海外モデル、8 つの基礎能力の評価は PLaMo と使い分けている
- 観点や手順はモデルの外のアプリが担う。任せる部分と作り込む部分を分けて設計する
情報ソース:
・ITmedia AI+「広がる「国産AI」活用事例 PFNの「PLaMo」にみる“ハマりどころ”」(2026 年 10 月 23 日)
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