世界最大級のメモリチップメーカー、韓国SK HynixなどSKグループを率いるChey Tae-won会長が「世界的なメモリチップの供給不足は2030年まで続く」と発言した。米サンノゼで開かれたNVIDIAのGTCカンファレンスでの見解として、Nikkei Asiaが報じた。
数字の大きさ
Nikkei Asiaの別報道によれば、Samsung、SK Hynix、Micronといった世界のDRAMメーカーを合わせても、2027年末時点で世界需要の60%しか満たせない見通し。つまり需要と供給のギャップが40%近く残る。メモリ生産を年12%ペースで増やす必要があるが、現状の増加率は7.5%にとどまっており、数字が追いついていない。
価格への影響は既に出始めている。市場調査会社TrendForceは、Q2(4〜6月)のDRAM価格がQ1からさらに63%、NANDに至っては75%上昇する可能性を指摘する。Q1だけで95%の急騰があった後の追加上昇だ。Western Digitalは2026年分のHDD在庫が既に完売していると報じられ、PCメーカー各社もIntel・AMDのCPU含めて最大6カ月の供給待ちに直面しているという。
なぜ、ここまで逼迫したのか
原因はシンプルで、AIデータセンター向けHBM(高帯域幅メモリ)の需要爆発だ。メーカーは利益率の高いHBMに生産ラインをシフトしており、その結果、スマートフォン・PC・自動車・産業用機器に使われる汎用DRAMやNANDの供給が後回しになっている。Gartnerは2026年のPC出荷が前年比10.4%減、スマートフォンが8.4%減になると予測する。
しかもChey会長は、単に工場を建てれば解決する問題ではないと説明する。SK Hynixが自国韓国で新工場を優先しているのは、中東情勢(ホルムズ海峡問題)によるエネルギー価格高騰の影響もあり、「お金や補助金の問題ではなく、エネルギー源と水、そして適切なエコシステム」がボトルネックだという。
SYNCONの視点
経営の現場にとって、このニュースは3つの意味を持つ。
第一に、「あとで買おう」が最も損する局面が来ているということ。PC、サーバー、データセンター設備、業務用端末——これら全てのリプレースを先送りしている企業ほど、2026〜2027年にかけて調達コストが跳ね上がるリスクを抱える。設備投資計画の前倒し検討は、もう「早すぎる」話ではない。
第二に、AIに賭けるほど、AI以外のIT予算が圧迫される時代が始まった。自社でAIサーバーを増強するなら、同じ予算で以前買えたオフィス用PCの台数は減る。どちらを優先するか、もしくはクラウド側に逃がすかの判断は、2026年の経営アジェンダになる。
第三に、地政学とエネルギーが、もはや別問題ではないということ。ホルムズ海峡の緊張が韓国のメモリ工場の電気代を押し上げ、それが日本の中小企業が買うノートPCの価格に転嫁される——このような連鎖は、これから何度も形を変えて起きる。「うちはITじゃないから関係ない」と言えない時代に、完全に入った。
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