あなたの会社が使っているクラウドサービスが、突然1日止まったらどうなるでしょうか。メールが送れない、ファイルが開けない、業務が完全にストップする。
こうした事態に備えて存在するのが、SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意)です。クラウドサービスを導入する際に、必ず理解しておくべき「契約の読み方」を解説します。
SLAとは何か
SLAとは、サービス提供者(例:Google、Microsoft、AWS)と利用者(あなたの会社)の間で交わされる「サービス品質の約束事」です。
具体的には、以下のような内容が定められています。稼働率(Uptime)はサービスが正常に動いている時間の割合。応答時間は障害発生時にサポートが対応を開始するまでの時間。補償条件は約束を守れなかった場合の返金やクレジット。メンテナンス時間は計画的な停止の事前通知ルールです。
「99.9%」の稼働率は、実は年間8時間の停止を意味する
SLAで最もよく目にするのが「稼働率○○%」という数字です。この「%」の違いが意味するものを正確に理解しておきましょう。
99%は年間で約3.65日(87.6時間)の停止が許容されます。99.9%(スリーナイン)は年間で約8.76時間の停止。99.99%(フォーナイン)は年間で約52分の停止。99.999%(ファイブナイン)は年間で約5分の停止です。
多くのクラウドサービスは「99.9%」を保証しています。一見すると完璧に近い数字ですが、年間で約8時間は止まる可能性があるということです。業務に致命的な影響を与えるサービスであれば、この数字が十分かどうかを検討する必要があります。
SLAを読むときの3つのチェックポイント
1. 稼働率の「計算方法」を確認する
同じ99.9%でも、月単位で計算するのか年単位なのかで意味が変わります。また、「計画メンテナンスは除く」という条件が付いていることも多く、実質的な稼働率はSLAの数字より低い場合があります。
2. 補償の「上限」を確認する
SLA違反時の補償は、多くの場合「月額料金の○%をクレジットとして返還」という形です。サービス停止による業務損害を全額補償してくれるわけではありません。補償上限が月額料金の30%程度であることも珍しくありません。
3. 「除外条件」を確認する
天災、ユーザー側の設定ミス、第三者のサービス障害など、SLAの対象外となる条件が細かく定められています。「SLAがあるから安心」と思い込むのではなく、何が対象外なのかを把握しておくことが重要です。
主要サービスのSLA比較
代表的なクラウドサービスのSLAを見てみましょう。Google Workspaceは99.9%の月間稼働率を保証。Microsoft 365も99.9%の月間稼働率を保証。AWS(Amazon Web Services)はサービスにより99.9%から99.99%。Slackは99.99%の月間稼働率を保証しています。
数字だけを見ると大差ないように見えますが、補償条件や除外事項はサービスごとに大きく異なります。
SYNCONの視点
クラウドサービスが「当たり前」になった今、SLAは「読めて当然」の経営リテラシーです。
かつてオフィスの設備は自社で管理し、故障すれば自社で修理していました。クラウド時代では、その「管理責任」の一部をサービス提供者に委ねています。SLAはその委託契約の中身であり、「何が守られ、何が守られないか」の境界線です。
次にクラウドサービスを契約する際は、機能や価格だけでなく、SLAの中身にも目を通してみてください。「99.9%」の裏にある8時間が、あなたのビジネスにとって許容範囲かどうか。それを判断するのは、AIではなく、あなた自身です。
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