OpenAI は 10 月 19 日、古い基幹システムを AI で別の言語に書き換える評価で、新しいモデルの正答率が 5.4% から 86.6% に上がったと発表しました。
書ける人が減っていく古いシステムの刷新を、誰に、どの順で任せるかを考える材料になります。
30 秒でわかるポイント
- 銀行などに残る古い言語(COBOL)の書き換えで、正答率が 5.4% から 86.6% に
- 出力が 1 バイトでも違えば不合格という、厳しい条件で測った結果
- 考える量を増やすと 97.9%。ただし本番には専門家の確認と試験が要る
1 分でわかる解説
COBOL は、事務処理のために作られた古いプログラミング言語です。OpenAI によると、オンラインバンキングの 40% 超、ATM 取引の 95% を支えています。一方で、AI が学ぶ手本になるコードや資料は、今の言語より少ないのが弱みでした。
今回の評価では、COBOL のプログラムを C++、Java、Kotlin、Python、Rust の 5 言語に書き換えさせました。AI に中身を見せない試験に、すべて通ったときだけ「正解」と数えます。
| モデル | 考える量 | 正答率 |
|---|---|---|
| GPT-5.6 Sol(前のモデル) | 少なめ | 5.4% |
| GPT-6.1 Sol(新しいモデル) | 少なめ | 86.6% |
| GPT-6.1 Sol(新しいモデル) | 多め | 97.9% |
少なめの設定どうしで比べると、新しいモデルの利用料は前のモデルの 61% に収まるとしています。
ここから考えたい 3 つの問い
- 仕組みを説明できる人が限られているシステムは、身近な職場にありますか?
- 書き換えた後に「前と同じ結果が出る」ことを、何で確かめますか?
- 刷新を外部に頼むとき、AI の使い方と確かめ方を、誰と決めますか?
全文を読む(約 4 分)
何が起きたの? — 書き換えの正答率が 86.6% に
OpenAI は 10 月 19 日(米国時間)、古い言語を AI がどこまで扱えるかを示す評価結果を発表しました。対象は COBOL や Fortran、Visual Basic など、AI が学ぶための資料が少ない言語です。
評価は 2 つあります。
| 評価 | 内容 | 結果 |
|---|---|---|
| MultiLangBench | 20 種類の言語で、データベースの中核部分を一から作らせる | 平均の合格率 26.8% → 87.4%(COBOL は 10.9% → 72.1%) |
| COBOL 移行の評価 | 既存の COBOL のプログラムを、5 言語に書き換えさせる | 正答率 5.4% → 86.6%(考える量を増やすと 97.9%) |
1 つ目の平均 87.4% は「GPT-6 Astra」、26.8% は前のモデル「GPT-5.6 Sol」の値です。作らせるのは、広く使われるデータベース「SQLite」と同じように動く仕組みです。COBOL は大きく伸びましたが、平均にはまだ届いていません。
2 つ目の数字は「GPT-6.1 Sol」のものです。OpenAI は、97.9% で評価がほぼ上限に近づいたとしています。評価の仕組みとテストは、ソフトウェア開発の共有サイト「GitHub」で公開されています。
COBOL って何? なぜ「1 バイト」が問題なの?
COBOL は、事務処理のために作られた古いプログラミング言語です。銀行の勘定や役所の台帳のように、長く動き続ける基幹システムに今も残っています。
困るのは、AI が学ぶ材料が少ないことです。インターネット上のコードや解説は、Python のような今の言語に比べて多くありません。そのため、AI にとって苦手な言語でした。
今回の評価は、書き換えた後のプログラムが、元とまったく同じ結果を出せるかを見ています。外から見える出力が 1 バイトでも違えば不合格です。1 バイトは、半角の英数字 1 文字ぶんにあたります。
たとえるなら、ベテランが付けてきた帳簿を、新しい書式の帳簿に写す作業です。書式が変わっても、合計の数字は 1 円もずれてはいけません。
試験の中身は、AI には見せません。その試験にすべて通ったときだけ、移行できたと判定します。
もう一つの鍵は「考える量」です。AI が答えを出す前に、どれだけ時間をかけて検討するかの設定で、推論量と呼ばれます。新しいモデルは、少なめの設定でも 86.6% に達しました。
古いシステムを抱える会社は、何が変わるの?
古い基幹システムの悩みは、書ける人が減っていくことです。直すにも、新しい仕組みへ移すにも、時間と人手がかかります。
書き換えの大部分を AI が担えるなら、人の仕事の重心は「書く」から「同じ結果になったと確かめる」へ移ります。
| これまで | これから | |
|---|---|---|
| 書き換え | 人が 1 本ずつ読んで書き直す | AI が下書きし、人が見直す |
| 確かめ方 | 担当者の経験に頼りがち | 元の出力と突き合わせる試験を先に用意する |
| 手間の中心 | 書き換える人手 | 試験の準備と専門家の確認 |
ただし、数字は OpenAI 自身の評価です。報道によると、本番の移行には、引き続き専門家の確認と試験が必要とされています。実際の業務データや、記録に残っていない他のシステムとのつながりは、評価の外にあります。
SYNCON の視点 — 書き換える前に「正解」をそろえる
この評価で正解を決めたのは、元のプログラムの出力でした。裏を返すと、元の出力を記録した試験がなければ、AI が書き換えた結果が正しいかどうかを判断できません。
刷新で最初に決めるのは、発注先よりも順番です。まず、いまのシステムの入力と出力を記録して、比べられる形でそろえます。次に、影響が小さく、試験を用意しやすい部分から AI に任せます。勘定や決済のような中核は、試験が十分にそろってから進めます。
外部に頼むときは、AI を使うかどうかより、「同じ結果になったことを何で示すか」を契約の前に確かめておきたいところです。考える量の設定で正答率も利用料も変わるので、どの部分にどの設定を使うかも見積もりで確かめます。
要点まとめ
- OpenAI が 10 月 19 日、古い言語を AI で扱う評価結果を発表
- COBOL を 5 言語に書き換える評価で、正答率は 5.4% から 86.6% に。考える量を増やすと 97.9%
- 出力が 1 バイトでも違えば不合格。AI に中身を見せない試験で判定
- 新しいモデルの利用料は、同じ設定で前のモデルの 61%
- 本番の移行には、専門家の確認と試験が引き続き必要
- 刷新の準備は、元の出力を記録した「正解」をそろえることから
情報ソース:
・ITmedia エンタープライズ「1バイト違えば不合格のCOBOL移行、OpenAI新モデルの正解率は?」(2026 年 10 月 23 日)
・BleepingComputer「OpenAI says GPT-6.1 Sol is dramatically better at migrating legacy code」(2026 年 10 月 20 日)
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