AI の期待、頂点に 5 つ — ベンダー提案を見極める物差し

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ガートナーの日本法人が、クラウドと AI の 31 項目について、期待の高さの移り変わりを示す図の 2026 年版を出しました。

ベンダーから AI の提案を受けたとき、投資を急ぐか、様子を見るかを決める物差しになります。

30 秒でわかるポイント

  • 期待が頂点にあるのは、エージェント型 AI など 5 項目
  • 社内文書を探して答える AI など、幻滅期に入った項目も 6 つ
  • ガートナーは「どのモデルをどう管理して使うか」が経営課題と指摘

1 分でわかる解説

この図は、新しい技術への期待が「急に高まる → 冷める → 実務に根づく」と動く様子を表したものです。いまどの段階にあるかで、投資の仕方を変えられます。

期待の頂点にある技術は、話題が実力より先に進みがちです。反対に「幻滅期」は、導入した企業が課題に気づく段階で、使えないという意味ではありません。

段階 どんな時期か 2026 年版のおもな項目
黎明期 登場したばかり。事例が少ない AI と外部の道具をつなぐ規格など(17 項目)
過度な期待のピーク期 話題が先行し、提案が増える 最先端の AI モデル、自分で作業を進める AI など(5 項目)
幻滅期 導入した企業が課題に直面する 社内文書を探して答える AI など(6 項目)

ここから考えたい 3 つの問い

  • 最近届いた AI の提案は、この図のどの段階の技術でしたか?
  • 期待の頂点にある技術を試すとき、どこまでの失敗なら許すと決めていますか?
  • 幻滅期に入った技術を使っている職場では、何がつまずきになっていますか?
全文を読む(約 4 分)

何が起きたの? — 31 項目の 2026 年版

ガートナーの日本法人は 9 月 28 日、「日本におけるクラウドと AI のハイプ・サイクル:2026 年」を発表しました。ハイプ・サイクルとは、技術ごとの期待の浮き沈みを 1 枚に示す図のことです。

今回は 31 項目を取り上げています。期待が最も高い「過度な期待のピーク期」には、次の 5 項目が置かれました。

項目 ひとことで言うと
フロンティア AI 各社が競う最先端の AI モデル
FDE 客先の現場に入り込み、AI を業務に組み込む技術者(Forward Deployed Engineer)
エージェント型 AI 指示を受けて、手順を自分で組み立てて作業を進める AI
フィジカル AI ロボットなど、現実の物を動かす AI
クラウド・レジリエンス クラウドに障害が起きても事業を止めないための備え

2025 年版のピーク期には、AI エージェントなど 7 項目が置かれていました。1 年で顔ぶれが入れ替わっています。

一方、熱が冷めた「幻滅期」は 6 項目です。名前が挙がっているのは、RAG、SRE、New オンプレミス、ソブリン・クラウドです(それぞれ次の章で説明します)。

まだ登場したばかりの「黎明期」は 17 項目です。外部のツールを AI につなぐ共通規格(MCP)、AI どうしをつなぐ規格(A2A)、世界モデルなどが入りました。

「幻滅期」は、もう使えないということ?

そうではありません。幻滅期は、実際に導入した企業が課題にぶつかり、期待が現実に引き戻される段階です。この後、使い方が固まり、実務に根づいていきます。

代表は、社内の文書を検索してから AI に答えさせる仕組み(検索拡張生成、RAG)です。早くから実務で使われてきた技術です。

クラウドに詳しい林雅之氏は、RAG が「幻滅期の底付近」に達したと解説しています。回答の精度を保つことや、文書の更新にかかる運用の負担が表に出てきました。

ほかの 3 つも見ておきます。

  • サービスを止めずに動かし続けるための運用の手法(サイト・リライアビリティ・エンジニアリング、SRE)
  • 自社で機器を持つ形(オンプレミス)に、クラウドの仕組みを取り入れたもの(New オンプレミス)
  • データを自国の管理下に置くクラウド(ソブリン・クラウド)

林氏は New オンプレミスとソブリン・クラウドについて、データ保護の要請に対し、運用体制やコスト構造が追いついていないと見ています。

提案の受け方はどう変わるの?

ガートナーの亦賀忠明氏は、フロンティア AI について「採用するか否か」ではなく、「どのモデルを、どのような管理のルール(ガバナンス)の下で使うか」が経営課題になると述べています。

流行っているかどうかではなく、図のどの段階の技術かで、受け止め方を変える時期です。

提案の種類 これまでの受け止め方 これからの受け止め方
期待の頂点にある技術 早く入れないと遅れる 業務を 1 つに絞って試し、やめる条件を先に決める
幻滅期の技術 流行が終わった 課題が見えたぶん、運用の手間を見積もりやすい
黎明期の技術 まだ関係ない 担当者が情報を集めておく

亦賀氏はクラウドについても、「継続的なイノベーションを支える経営基盤」と位置付ける必要があると話しています。AI だけでなく、それを載せる土台の判断も経営の仕事になります。

SYNCON の視点 — 段階ごとに、お金の出し方を変える

期待の頂点にある 5 項目は、提案が最も多く届く技術でもあります。名前の新しさで決めず、どの業務の何を減らすのかを先に聞くことです。試す期間と、やめる条件も最初に決めておきます。

幻滅期の技術は、むしろ導入の判断がしやすい段階です。RAG なら、文書を最新に保つ担当を決めてから入れれば、先に導入した企業がつまずいた点を避けられます。

社内で決めておきたいのは、提案を受けたら「この技術はいまどの段階か」を最初に確かめる、という手順を 1 つ足すことです。それだけで、投資の急ぎすぎと見送りすぎの両方を減らせます。

要点まとめ

  • ガートナー日本法人が 9 月 28 日、クラウドと AI の 31 項目の図を発表
  • 期待の頂点はフロンティア AI、FDE、エージェント型 AI、フィジカル AI、クラウド・レジリエンスの 5 項目
  • RAG、SRE、New オンプレミス、ソブリン・クラウドなど 6 項目は幻滅期に
  • 幻滅期は「使えない」ではなく、課題が見えて実務に根づき始める段階
  • 亦賀氏は「どのモデルを、どう管理して使うか」が経営課題と指摘
  • 提案を受けたら、まず技術の段階を確かめる手順を足す

情報ソース:
・@IT「New オンプレミス、RAG、SRE はもう“幻滅期” 2026 年、「過度な期待」のピークにある 5 項目とは?」(2026 年 10 月 19 日)
・IT Leaders「クラウドとAIのハイプサイクル、過度な期待のピーク期にフィジカルAIやFDEなど5個をプロット─ガートナー」(2026 年 9 月 28 日)
・ITmedia オルタナティブ・ブログ 林雅之「ガートナーの2026年ハイプ・サイクル AI駆動型クラウドへ転換」(2026 年 9 月 29 日)

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