Claude に仕事を任せる機能「Cowork」で、作業を自分のパソコンの中だけで動かす設定が、10 月 6 日に廃止されました。これからは、作業がすべて Anthropic のクラウドで動きます。
大事なのは、社内のファイルがどこへ渡るかが変わったことです。「パソコンの中だけなら使ってよい」としていた社内のルールは、前提から見直しが要ります。
30 秒でわかるポイント
- Pro と Max のプランで、Cowork の新しい作業はすべてクラウドで動く
- 「このコンピュータのみ」の設定は削除。始めていた作業は元の設定のまま最後まで動く
- パソコンのファイルは、つないだフォルダから必要なものだけ写しをクラウドへ取り込む
1 分でわかる解説
AI が考える処理は、もともとクラウドで動いていました。今回変わったのは、AI が実際に手を動かす「作業場所」です。
| これまで(このコンピュータのみ) | 10 月 6 日から | |
|---|---|---|
| 作業場所 | 自分のパソコンの中 | Anthropic のクラウド |
| ノートパソコンを閉じると | 作業が止まる | 作業は続く(パソコンのファイルには届かない) |
| パソコンのファイル | パソコンの中で扱う | 必要なファイルの写しをクラウドへ取り込む |
手軽さは増しました。その代わり、ファイルの写しが社外のサーバーに置かれる場面が増えます。
ここから考えたい 3 つの問い
- AI に渡してよいファイルと渡してはいけないファイルの線引きは、書面になっていますか?
- AI サービスの設定が変わったとき、利用のルールを見直すのは誰ですか?
- あなたの職場では、誰がどのプランの AI を仕事で使っているか、把握できていますか?
全文を読む(約 4 分)
何が起きたの? — 「このコンピュータのみ」の廃止
米 Anthropic は、対話型 AI「Claude」の有料プラン Pro と Max で、Cowork の作業の動かし方を変えました。
Cowork は、Claude に仕事を任せる機能です。自分で段取りを組んで作業を進める AI(AI エージェント)の一種です。
10 月 6 日(現地時間)以降、Pro と Max の Cowork の新しい作業は、すべてクラウドで動きます。設定画面にあった「このコンピュータのみ」(英語版では Only on your computer)の項目は削除されました。
すでに始めていた作業は、始めたときの設定のまま、終わるまで動きます。
チーム向けの Team と、大企業向けの Enterprise のプランでは、クラウドで動く Cowork はまだ試験提供(ベータ)の段階です。Enterprise では、管理者が有効にした場合に使えます。
どういう仕組みに変わったの?
AI が作業するときは、ファイルを開いたり、道具を使ったりします。その作業場所が「仮想マシン(VM)」です。パソコンの中に作る、作業用の仮のコンピュータのことです。
これまで「このコンピュータのみ」をオンにすると、Anthropic が作った VM が自分のパソコンに配られていました。AI はその VM から作業をしていました。ただし AI が考える処理(推論)は、当時からクラウドで動いていました。
これからは、推論も VM も、両方ともクラウドで動きます。
Anthropic の開発者フェリックス・リーゼベルク氏の X への投稿によると、作業のたびに、ほかと隔てた専用の作業場所(サンドボックス)が割り当てられます。ほかの作業とは中身を共有せず、作業が終わると捨てられます。
たとえるなら、社員の机で書類を広げていた仕事を、外部の貸し会議室に移したようなものです。部屋は毎回まっさらで、使い終わると片付けられます。ただ、書類の写しは会議室まで持ち出されます。
社内のファイルはどう扱われるの?
パソコンのファイルに触れるのは、パソコン用の Claude アプリ(デスクトップアプリ)を通じてだけです。届くのは、利用者が明示的につないだフォルダだけです。アプリを開いている間に限られ、すでに決めた権限の範囲で動きます。
作業でファイルが必要になると、Claude はそのファイルだけの写しをクラウドへ取り込みます。
| 場面 | どうなるか |
|---|---|
| Claude が仕上げて渡したファイル | 保存される |
| 渡されなかった作業途中のファイル | 作業の終了後は残さず、参照もしない |
| 作業の記録を削除したとき | 取り込んだ写しも、データ保持の方針に沿って削除される |
| アプリを閉じたとき | クラウドの作業は続くが、パソコンには届かない |
| クラウドで作った定期実行の作業 | パソコンのフォルダは使えない |
仕事や会社はどう変わるの?
リーゼベルク氏は、「このコンピュータのみ」の設定は、機能と安全のために用意していたと説明しています。一方で、パソコンの中で VM を動かすと負荷がかかり、ノートパソコンを閉じると作業が止まっていました。
クラウドに移ると、この悩みはなくなります。パソコンで始めた作業を、スマートフォンで引き継ぐこともできます。
働く人には便利な変更です。ただ、会社の側から見ると、社外に出るデータの範囲が変わります。
| これまで | これから | |
|---|---|---|
| 「社外に出さない」使い方 | 設定で選べた | Pro と Max では選べない |
| 社内ルールの前提 | パソコンの中で完結する | ファイルの写しがクラウドに置かれる |
| 見るべきところ | 設定がオンになっているか | どのフォルダをつないでいるか |
SYNCON の視点 — 線引きはフォルダ単位で
今回の変更で、「パソコンの中だけなら安全」という線は使えなくなりました。これからの線引きは、どのフォルダを AI につなぐかで決まります。顧客の名簿や人事の資料が入ったフォルダを、つないでよいかどうかです。
もう一つの論点は、サービスの仕様が変わったとき、誰が気づくかです。今回のように、選べていた設定が消えることもあります。利用のルールを見直す担当者と、見直す時期を決めておく必要があります。
まずは、Claude を仕事で使っている人と、そのプランを洗い出すところからです。そのうえで、つないでよいフォルダの範囲を書面にします。
要点まとめ
- 10 月 6 日から、Pro と Max の Cowork の新しい作業はすべてクラウドで動く
- 「このコンピュータのみ」の設定は削除。始めていた作業は元の設定のまま終わるまで動く
- 作業ごとに専用の作業場所が割り当てられ、終わると捨てられる
- パソコンのファイルは、つないだフォルダから必要なものだけ写しを取り込む
- Team と Enterprise では、クラウドで動く Cowork はまだ試験提供の段階
- 社内ルールの線引きは「パソコンの中だけ」から「どのフォルダをつなぐか」へ
情報ソース:
・ITmedia AI+「Claude Coworkの「ローカル実行」オプションが廃止 モデル推論、VM共にクラウド実行へ」(2026 年 10 月 6 日)
・Claude ヘルプセンター「Use Claude Cowork on web, desktop, and mobile」
・Claude ヘルプセンター「What to expect with Claude Cowork in the cloud」
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