「クラウド」という言葉はもう聞き慣れた。だが「マルチクラウド」と聞いて、即座に説明できるだろうか。AWS、Azure、Google Cloud——複数のクラウドを使い分ける企業が増えている理由を、3分で理解する。
3行でわかるポイント
- マルチクラウドとは、複数のクラウドサービス(AWS、Azure、Google Cloudなど)を組み合わせて使うIT戦略のこと
- 目的は「ベンダーロックイン回避」「障害リスクの分散」「各社の強みの使い分け」の3つ
- 大企業だけの話ではない。中小企業でも「Google Workspace+AWS」のように、気づけばマルチクラウド状態になっているケースは多い
なぜ「1社に全部任せる」ではダメなのか
クラウドの世界には「ベンダーロックイン」という言葉がある。特定の1社のサービスに深く依存してしまうと、値上げされても乗り換えが困難になる。データ形式や設定が独自仕様で固められていて、移行コストが膨大になるからだ。
マルチクラウドは、この「1社依存リスク」を回避する戦略だ。たとえばメールとファイル共有はGoogle Workspace、基幹システムはAWS、AI・機械学習の実験はGoogle Cloud——というように、用途ごとに最適なサービスを選ぶ。
「障害で全部止まる」を防ぐ
もう一つの大きな理由が、障害リスクの分散だ。2024年から2025年にかけて、AWSやAzureでも大規模な障害が複数回発生した。もし基幹業務をすべて1社のクラウドに載せていた場合、障害が発生した瞬間に業務全体が止まる。
マルチクラウド戦略では、重要なシステムを複数のクラウドに分散させることで、1社が止まっても業務を継続できる体制を構築する。金融機関や医療機関では、この考え方がすでに標準になりつつある。
「ハイブリッドクラウド」との違い
似た用語に「ハイブリッドクラウド」がある。これは「クラウド+オンプレミス(自社サーバー)」の組み合わせを指す。一方、マルチクラウドは「クラウド+クラウド」の組み合わせだ。
実際には、マルチクラウドとハイブリッドクラウドを同時に採用している企業も多い。自社のデータセンター(オンプレミス)に機密データを置きつつ、AWSとAzureを併用する——という構成は珍しくない。
管理の複雑さという「代償」
マルチクラウドは万能ではない。最大の課題は「管理の複雑さ」だ。各クラウドの管理画面は異なり、セキュリティ設定もバラバラ。請求書も複数届く。これを統合管理するためのツールや人材が必要になるため、中小企業には導入のハードルがあるのも事実だ。
それでもマルチクラウドが広がっている背景には、「クラウドが止まった」ときのビジネスインパクトが年々大きくなっているという現実がある。
SYNCONの視点
「うちはAWSだけだから関係ない」と思った方こそ、マルチクラウドを知っておくべきだ。Google WorkspaceやMicrosoft 365を使っていれば、その時点ですでに複数のクラウドに依存している。
重要なのは、「いま何社のクラウドに依存しているか」を把握すること。それが、障害が起きたときに慌てない第一歩になる。
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