
米 Cloudflare は、同社のネットワークを通る通信の半分超が、今年初めて人以外になったと明かしました。読みに来るのが人より AI のほうが多くなると、集客の前提が変わりそうです。
30 秒でわかるポイント
- 人とそれ以外の通信の逆転は、同社の見込みより 1 年以上早い 2026 年 5 月に起きました。
- 人の代わりに動く AI からのアクセスは、この 1 年で 1,700% 超増えたといいます。
- AI がよく読みに来る業種では、人の訪問が 1 年足らずで最大 40% 減ったとしています。
1 分でわかる解説
ここでいう AI は、人の代わりに調べものや買い物をこなすソフト(AI エージェント)です。その後ろには多くの場合人がいる、と Cloudflare は説明しています。
人の訪問が減ると、広告や検索の集客に頼るサイトは収入が細ります。そこで Cloudflare は、サイト運営者向けの道具を 3 つのねらいでそろえています。
| ねらい | できること |
|---|---|
| 見る | どの AI が来て、何を持っていくかを知る |
| 選ぶ | 検索・AI エージェント・AI の学習用を分けて、通すか止めるかを決める |
| 受け取る | AI に使われた分の代金を受け取る |
ここから考えたい 3 つの問い
- 自社のサイトに、AI がどれくらい読みに来ているか知っていますか?
- 検索には載せたいけれど、AI の学習には使われたくない情報はありますか?
- 人の訪問が減っても、AI を通じて選ばれ続けるには何が必要でしょうか?
全文を読む(約 5 分)
何が起きたの?
Cloudflare は 9 月 28 日〜10 月 2 日、創業 16 周年に合わせて新サービスをまとめて発表しました。その中で、ネットの「客層」が変わったことを数字で示しています。
創業者 2 人は毎年、手紙(年次レター)を公開しています。9 月 27 日の今年の手紙では、人とそれ以外の通信の逆転を、もともと 2027 年後半と見込んでいたと明かしました。AI エージェントや AI の情報収集プログラム(クローラー)が増え、その時期は 2026 年 5 月に早まったといいます。
手紙はさらに、今の流れが続けば 5 年で人以外の通信が人の 1,000 倍になると予測しています。これは同社の見通しで、確かな予定ではありません。
人の訪問はどれだけ減ったの?
9 月 30 日の Cloudflare のブログによると、AI がよく読みに来る業種ほど、人の訪問が減っています。小売、ソフトウェア、IT サービス、金融では、1 年足らずで最大 40% 減った例があるとしています。
AI が何のために読みに来るのかも変わりました。Cloudflare が見たクローラーのアクセスのうち、AI の学習用は 2025 年春に 22% でした。2026 年 6 月には 52% になっています(用途はクローラー自身の申告)。
むだも目立ちます。創業者の手紙によると、行儀のよいボットが取りに来る内容の半分以上は、前回の訪問から変わっていないものです。サイト側は、変わらないページを何度も渡していることになります。
サイト運営者は何ができるの?

Cloudflare がそろえている主な道具は次のとおりです。いずれも同社のサービスを使うサイトが対象です。
| ねらい | 道具 | 中身 |
|---|---|---|
| 見る | AI Crawl Control など | 誰が来て、何を持っていき、どの URL が好まれているかを確かめられる |
| 選ぶ | 検索・エージェント・学習の個別設定 | 7 月に「AI を止める」1 つのスイッチを 3 つに分けた。無料プランを含む全プランで使える |
| 選ぶ | Disallow AI Training | 検索には載せたまま、AI の学習に使わないよう求める。9 月 15 日に提供を開始 |
| 受け取る | Pay Per Use | 読み取りではなく、実際に使われたときに支払われる。価格は AI 企業が決めて申し出る。試験提供中 |
| 受け取る | Monetization Gateway | AI の利用 1 回ごとに課金する。米国に限った試験提供 |
学習の拒否について Cloudflare は、Apple と Google はこの設定に従っており、Microsoft も 2027 年初めに対応する予定だと説明しています。
Pay Per Use は、9 月 30 日に試験提供が始まりました。2025 年に始めた Pay Per Crawl が「読み取り」に課金するのに対し、こちらは読み取った後に「使われた」ときに支払われます。
AI 企業は、どんな使い方に払うかと価格を決めて、Cloudflare に申し出ます。サイト側は管理画面で申し出を見て、参加するかを選び、合わなくなればやめられます。代金は Cloudflare が買い手に請求し、サイト側に支払う仕組みです。
使われた回数は、買い手の自己申告です。Cloudflare は、報告された利用が参加サイトのものかを確かめるとしています。試験提供のあいだに、価格への対案や、使い道ごとの値付けもできるよう整えていくといいます。
Monetization Gateway の詳しい仕組みは、前日の記事「AI が客として代金を払う時代へ」で紹介しています。
AI に読ませやすくする道具もあります。「Markdown for Agents」は、人向けの装飾を省いた形でページを AI に渡す仕組みです。
人の仕事はどう変わるの?
サイトの担当者には、「人に見せる」設計に加えて、「AI にどう読ませるか」を決める仕事が加わりそうです。何を学習に使わせ、何を AI の回答に使わせるかは、商品や情報によって答えが変わります。
経営の側では、アクセス数の見方を変える必要が出てきそうです。人の訪問と AI の訪問を分けて見ないと、数字が増えても売上につながらない、という食い違いが起きかねません。
SYNCON の視点 — 「人の訪問数」だけでは測れなくなりそうです
AI をすべて止めれば、AI の回答に自社の情報が出てこなくなるかもしれません。すべて通せば、学習に無償で使われる面があります。「3 つに分けて選ぶ」設定は、その中間をとる選択肢になりそうです。
検索・エージェント・学習の個別設定は無料プランでも使えるため、日本のサイトでも試しやすいかもしれません。一方で、代金を受け取る仕組みは試験段階で、地域の制限もあります。
また、Pay Per Use で使われた回数は買い手の申告に頼ります。受け取る額が正しいかをサイト側が確かめる手立ては限られそうなので、参加する前に条件をよく見ておきたいところです。
なお、人以外の通信が増えるほど、Cloudflare の道具の出番は増えます。「1,000 倍」のような予測は、その立場からの見通しとして読むのがよさそうです。
未確認の点:「半分超」や「最大 40% 減」の詳しい測り方は、公表資料では確認できませんでした。Apple・Google・Microsoft の対応は Cloudflare の説明で、各社自身の発表は確認していません。Pay Per Use の手数料、日本のサイトが参加できるか、参加している AI 企業の名前は記載がありません。
情報ソース:
・Cloudflare「Cloudflare’s 2026 Annual Founders’ Letter」(2026 年 9 月 27 日)
・Cloudflare「The Internet has a second audience」(2026 年 9 月 30 日)
・Cloudflare「Pay Per Use」(2026 年 9 月 30 日)
・Cloudflare「Monetization Gateway beta: charge AI agents for consumption with HTTP 402」(2026 年 9 月 30 日)
・Cloudflare「Birthday Week」発表一覧
AI・最新テックの動きを、毎日 X でお届けしています
X で @SYNCONJP をフォロー


コメント